〜禁忌 7〜

 

「健ちゃん、おめでとう!」

 夕香が嬉しそうに笑いながら七地にそう言った。

「な、何が?」

 一体何が目出度いのかわからずに、頭に?マークを浮かべる。

「やっだ〜、健ちゃんったら!しらばっくれちゃって」

 ばしっ、と七地の背中を叩いた。

「だって、健ちゃん闇己君と付き合ってるんでしょ?しかも布椎家公認と言うじゃない。これはもう結婚まっしぐらね!私闇己君のこと好きだったけど、健ちゃんが相手なら諦めるわ」

 だから、頑張ってね!と夕香は言う。

「えぇー!何それ!」

 そんな、公認だなんて!それが本当だったら嬉しいけど。

「七地さん」

 驚いていると寧子が目の前に現れた。

「寧子ちゃん!どうしてここに!」

「七地さん、闇ちゃんのこと、宜しくお願いしますね」

 にっこりと、寧子は微笑む。

「えっ。ええぇーーー!!」

 これこそ、七地は叫ばずにはいられなかった。

「だって、寧子ちゃん闇己君ことは?!俺の事怒ってないの?」

「うんん。もういいの。闇ちゃんのことは諦めるわ。やっぱり闇ちゃんの隣には七地さんが似合うと思うの」

「…寧子ちゃん」

 思わず七地は涙ぐむ。

「良かったね!健ちゃん!」

 にこにこと2人は微笑んで七地を見る。

「うん!2人ともありがとう!」

 がしっ!と2人の手を掴んだ。

「…あれ?何だか2人とも大きい手だね…」

 握った感触が女の子の手を触っている感じがしない。

(なんだろう…。この違和感…。)

 七地が考え込んでいると、どこからか聞いたことのある声が耳に届いた。

「いやだな〜。七地君。そんなに僕の手を握っちゃって。おじさん照れちゃうよ」

 言い方は優しいが、その声には陰湿な雰囲気が含まれている。

「そ、その声は!」

 七地はハッ!となって飛び起きた。

「あ、あれ…?ここは…」

 辺りを見回してみる。そこには2人掛け用のテーブルと椅子があり、ダブルベットが一つあるだけだった。

「ここは僕が今住んでいる部屋だよ。―――それよりも君は相変わらず健康なトビを見るね。感心しちゃったよ。一度ならず二度までも幸せそうなトビとは。七地君はホントに良い環境で育ったんだね〜」

 にこにこと、笑いながら眞前は言う。

「いや〜、それほどでも…。って、ま、眞前さん?!」

 にこっ、と七地は微笑んで言うと、途中でハッ!と気がついた。

「何かな?」

「何で俺がココにいるんですか!」

「何でって決まってるでしょ?君を誘拐してきたんだから。君がココにいるのは当たり前」

「あ、当たり前って…。誘拐は列記とした犯罪ですよ?!わかっているんですか?いけないことなんですよ!」

「…七地君、今更この僕にそんなこと言うのかい?」

 すうっ、と目を細めて七地を見る。

 その表情に七地はびくっ、とした。

 顔は笑っていても鋭く光っている瞳がとても怖く感じる。

(そ、そうだ〜!この人は恐ろしい人だったんだ。眞前さんにとってこんな誘拐は犯罪のうちに入らないんだ!俺って自分から墓穴掘った…?)

 たらぁ〜、と背筋に汗が流れる。

「くくくっ、面白いな〜。君は。こんな僕にでも説教するんだから、あの闇己にはもっと説教しているんだろうね。その姿が目に浮かぶよ」

 眞前は拳を口元に持っていき笑った。

「ホント、君は海潮兄さんに似てるよ…。闇己が懐くのがわかる気がする」

「…確か眞前さんって俺の事嫌いなんですよ…ね?」

 恐る恐る聞くと、眞前はにっこり笑い「うん」と頷いた。

「でも、今は嫌いな君と一緒にいるしかなくてね」

「…どういう意味ですか?」

「君が邪魔なんだよ。僕も…。そして、寧子も…」

 眞前の言葉を聞くと、七地は目を見開いて眞前を見つめていた。

 

 

 

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