〜禁忌 6〜
布椎家一帯には、暗いオーラが立ち込めていた。 とても重い空気が布椎家にいる人たちに圧し掛かる。 この家にいるのは布椎家宗主である闇己と、従兄弟の蒿、そして居候の水都波の3人がいた。 運悪くこの事態に居合わせてしまった二人は、闇己が放つ気にかなり参っていた。 そんなこととは露知らずの闇己は、未だに来ない七地の到着を待ちわびていた。 まだか、七地…。 少し遅刻癖はあるにしても、こんな数時間も遅れるはずがない。 何かあったとしか考えられない。 しかし、ここのところ七地の様子が変だったので、もしかすると自らの意思でここに来ないでいるのかもしれない。 避けるようになったのは何故だ? 原因を考えても全くわからない。 自分は何もした覚えはない。 これといって喧嘩をしたわけじゃない。 かといってアイツを怒らせたわけでもない。 原因が全くわからないのだ。 何もわからずに避けられるのは納得がいかない。 だから闇己は今回、布椎家宗主として鍛冶師である七地を呼び出したのだ。 これならば、来ないわけには行かないだろうと踏んで。 来たら、問い詰めようかと思った。 もしかして、嫌われたのか…? 一瞬、その考えが過ぎったが、『そんなはずはない』と直ぐに頭から追い出した。 会いたいんだ…。七地…。 会いたいのに会えないことがこんなにも苦しいことだったなんて知らなかった。 どんなことをしても闇己は七地に会いたかった。 それが布椎の権力を使っても。 しかし、その権力を使っても全く訪問する気配がない。 もう、ここで待ってるなんて出きるかよ! 闇己はそう思うと、立ち上がり自分の部屋から出て行った。 ********** 「眞前さん!一体今までどこに行っていたんですか?!」 いつのまにか部屋から居なくなった眞前に楠が詰め寄る。 「ん〜?ちょっと散歩しに」 嬉しそうに言う眞前の表情に楠は何かが引っかかった。 「…どこまで散歩しに行ったんですか?やけに嬉しそうですね」 「だからちょっとだってば。ちょっと闇己の家の前までね〜」 楽しそうに言う眞前に、楠は眩暈を覚えた。 「何ですって?正気ですか?…あんな敵陣の前まで行くなんて」 「正気も正気さ。だって、七地君をさらったら闇己はどんな態度を見せるかなって思ってさ。そしたら思った以上の反応だったよ」 『聞きたい?』と眞前の目が楠に問い掛ける。 いや、『聞きたい』というか『聞いて』と言っているようだ。 楠は観念して、 「で、息子さんの様子はどうだったんですか?」 「凄かったよ。外まで念に近いオーラが出てた。怖いぐらいにね…。きっと表向きは感情をセーブしているつもりなんだけど、やっぱりどこかで感情のオーラの漏れがでてるんだろうね。それほど七地君が大事ってわけだ」 くすくすっ、と笑う。 「…もう、あんまり無茶しないでください」 楠は何を言っていいのかわからなかったので、こう言った。 「はいはい。楠君は心配性だね〜」 そう言うと眞前は部屋の奥に消えていった。 その部屋は七地が眠っている場所。 これから眞前が何をしようと企んでいるか楠にはわからない。 いつも突拍子もないことを突然やりだす。 これから何が起こるのか予測できない不安が楠の中で取り巻いていた。 |
*****戯言***** またまた短い文上に、更新遅くてですみません。えへっ( ̄◇ ̄;) |
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