家に着くと、すぐさま闇己は自分の部屋に七地を通した。 ずっと掴んでいた腕を思いっきり、部屋に引っ張る。 「うわぁ!」 どん!と尻餅を七地はついた。 「いててて」 お知りを擦りながら、七地は立ち上がろうとした。 すると闇己がそれを止めた。 「闇己君・・・?どうしたの。何かあったの?」 目の前に立たれている闇己に聞く。 「・・・もう一度さっきの質問をする。あの女は誰だ?」 見下しながら闇己は質問した。 「さっきの女・・・?俺がノートを貸した人かな?」 他に女という人は思い浮かばない。 「その女はアンタの一体何なんだ?」 今思い出しても怒りが沸々と湧いてくることが闇己にはわかった。 俺の七地にあんな軽軽しくキスするなんて!!! 目の前で七地にキスされたことがとっても悔しい。 自分のモノでもないのに闇己は怒りを七地にぶつけた。 これがつまらない嫉妬だとは闇己自信にもわかっていた。 だけど止まらない。 「別になんでもないよ。ただノート貸して欲しいと言われたから貸しただけだよ」 「ノートを貸すだけなのに、なんであの女はアンタにキスなんかしたんだ!」 つい、闇己の声が大きくなる。 「・・・闇己君?」 そんな闇己の変化に七地は困惑する。 「どうしたのさ、一体。俺、闇己君に何かした?」 七地は闇己に触れようとして腕を伸ばした。 その腕をばしっ!と払いのけると闇己は、 「質問の答えになってない!なんであの女はアンタにキスしたんだ?!」 キッ!と闇己は七地を睨み付ける。 アンタに触れていいのは俺だけだ!他の誰にも触らせたくない! 言葉に出来ない言葉を心の中で叫ぶ。 「そんなのわからないよ。ノートを貸したお礼にってキスされたんだから。別にされたくてされたわけじゃないよ」 どうしたら今の闇己の状態を緩和できるのかと七地は考えた。 「ねえ、闇己君。今度は俺の質問に答えてよ。一体どうしたのさ?あの女性がどうかしたの?」 その言葉に闇己はフルフルと首を振る。 「じゃあ、何?ちゃんと訳を言ってくれなきゃわからないよ」 もう一度七地は闇己に触れようとして手を伸ばした。 すると闇己はしゃがみ、七地の腕を引っ張って自分の胸に抱いた。 「闇己君?!」 七地はびっくりしてすぐに離れようとした。 が、力強い闇己の腕がそれを許さなかった。 「俺は!!」 ちくしょう。アンタのことあきらめるつもりだったのに!あの女がアンタにキスなんかしなければ!あんな場面を見なければ!こんな気持ちにはならなかったかもしれないのに!! 醜い嫉妬心が闇己の胸を締め付ける。 「俺は・・・何?」 七地は闇己の言葉を促した。 「俺は・・・」 もう引き返せない。 闇己は決意すると、 「俺はアンタの事が好きだ」 精一杯、真剣に伝える。 「・・・・俺も闇己君の事が好きだよ」 「違う!そうじゃない!俺が好きだという意味が違う」 俺がアンタに望んでいる事は友達とかの好きじゃないんだ。 「好きの意味・・・?」 「俺はアンタが好きなんだ・・・。こうしてずっと抱きしめていたい。アンタにキス・・・、したいんだ」 そう言うと闇己は七地の顎を持って、自分に向けさした。 ゆっくりと七地の顔に自分の顔を近づける。 自分の唇が柔らかい七地の唇に触れた。 柔らかいし、暖かい・・・。 闇己は触れるだけのキスをするとそっと、唇を離した。 七地の顔を見ると放心状態といった表情で固まっていた。 「俺はこういう意味でアンタの事が好きなんだ」 一息おいて、 「アンタの返事が知りたい」 真剣な眼差しで七地を見た。 「闇己君・・・」 目を何度もパチパチと瞬きをさせる。 「本当はアンタの事あきらめようかと思ったんだ。きっとアンタは俺の事なんて受け入れてくれないだろうと思って。ただでさえ、布椎家の為に色々と犠牲にして神剣さがしに協力してもらってる。きっとアンタはこんな俺を受け入れたらもっと今まで以上に犠牲にしなければいけないものが増えてくる。アンタを傷つけてしまうかもしれない。そう思ったらアンタの事はあきらめた方がいいと思った。でも、この気持ちを隠したままアンタに接する事は出来ない。だからアンタを傷つけようとする前にアンタに今の気持ちを打ち明けようと思ったんだ。なのに・・・」 闇己は唇をかみ締めて、目に涙を浮かべた。 「なのに・・・、あの女は俺の目の前でアンタにキスした。俺はそれが凄く許せなかった。アンタに触れる事が許せなかったんだ。アンタをあきらめたら他の女がアンタに近づく。それが許せなかったんだ」 「・・・闇己君・・・」 七地は闇己の激しい想いを全身で聞いていた。 こんなにも俺のことを思っていてくれたなんて・・・。 自分が闇己にとって、邪魔な人間なんかじゃないかと思っていた事もあったが、それはどうやら思い違いらしい。 こんなに激しい告白をされたのは初めてだ。しかも年下の男の子に・・・。 七地は告白されて嬉しく思った。 ・・・それにさっきのキス、全然嫌じゃなかったし。もしかして俺も闇己君の事が好きなのかな?これは確かめなきゃ。 「ねえ、闇己君。俺、確かめたい事があるんだ」 七地は優しく闇己に言う。 「確かめたい事・・・?」 その言葉に闇己は目を細めた。 「うん。俺が闇己君をそう言う意味で好きかどうか」 そう言うなり七地は闇己の頬を両手で挟むと、自分から闇己にキスをした。 ・・・やっぱり嫌じゃない。その代わりすっごくドキドキする。俺って闇己君のこと好きだったんだ・・・。 「なっ!七地?!」 闇己は驚いた表情をした。 「・・・俺の答え、見つかったよ」 ふんわり、と七地は微笑んだ。 「俺も闇己君の事が好きだよ。キスをしちゃうぐらいにね」 「・・・うそ」 信じられないといった顔で七地を見る。 「嘘なんかなもんか。男が冗談で男にキスなんかできるかよ。出来る人もいるかもしれないけど、俺はそんな冗談なんかでキスなんかできないよ。・・・闇己君だからしたんだ」 最後の方はぼそり、と呟いた。 「本当に?本当に俺の事を受け入れてくれるのか・・・?」 まだ信じられないといった表情で七地を見る。 そんな闇己を七地はくすり、と笑うと、 「勿論だよ。俺が闇己君を受け入れないはずがないだろう?・・・告白してくれてありがとう。嬉しかったよ」 もう一度七地は自分から闇己にキスをした。 「七地・・・」 闇己はそんな七地を抱きしめると、七地の唇に覆い被さった。 今まで抑え付けていた想いが、闇己の中で溢れ出す。 何度も何度も離れては口付ける。 やがて離れると、 「・・・俺、アンタの事を好きでいていいのか?」 闇己が七地に問うた。 七地はにこっ、と笑った。 「勿論だよ、闇己君。俺も闇己君のこと好きでいてもいいのかな?迷惑じゃない?」 「誰が迷惑なものか!アンタがいないとこの世界で行けてなんかいけない!」 その言葉を聞くと七地はぷっ、と笑い出した。 「何だよ」 闇己はムッ!となる。 「ああ、ごめん。だってなんか今の言葉プロポーズみたいだったからさ。だから―――」 「・・・俺はアンタとなら結婚してもいい」 真剣な瞳で七地を見る。 「はぁい?闇己君、君布椎家の宗主だよ?後継者を残さないでどうするのさ」 「後継者は寧子にさせる。寧子が次代の後継者を残せばいい」 「闇己君・・・」 「俺はアンタと一緒にいたい」 情熱的な瞳で見られて七地はドギマギする。 そんな綺麗な顔立ちでそんな瞳で見るのって反則だよ! 顔を少し赤らめながら、 「・・・俺もだよ」 そう七地は言った。 「俺はアンタを絶対に離さない。覚悟しておいてくれよ」 にやっ、と闇己は笑う。 ・・・闇己君に覚悟って言われるととてつもなく恐ろしい気がするのは俺だけか・・・? 七地は少し青ざめる。 しかし持ち前の気の強さで、 「闇己君こそ、覚悟しておいてね。俺も手放すつもりはないから」 「その言葉、よく覚えて置けよ」 「勿論さ」 そう言うと七地は笑った。 そう、手放すつもりなんてない。 折角手に入れた大切な人なんだ。 手放してたまるもんか。 こんなに愛しい人は初めてなんだから。 闇己はそう思うと、七地を抱きしめた。 |
*****戯 言***** 初めての作品なのに前後編とはなんちゅーふてぶてしい奴でしょう。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||