ふと、空を見上げると、青空が見えた。 

 雲ひとつない、綺麗な真っ青な空。

 闇己はあまりの眩しさに、目を細めると自分の部屋に戻った。

 今日は公務が入っていたが、それがキャンセルになった。

 突然出来た暇な日。

 闇己は出かける用意も整っていたので、急に手持ち無沙汰になってしまったので戸惑う。

 さて、どうしよう・・・。

 ふむ、と自分の部屋であぐらをかきながら考えた。

 いつもだったら、道場のほうへ行って鍛錬でもすればよいのだが、今日はそんな気分になれない。

 こんな気分のまま鍛錬しても力の向上は望めない。

 ただの時間の無駄だ。

 闇己は何か他に時間を無駄に使うのではなく、有効に使えることがないか考えた。

 時計を見るとまだ朝の10時30分。

 普通なら日が始まったばかりだ。

 きっと何もなければ学校にでも行っていただろう。

 しかし学校に行く気にもなれない。

 はて、他に何かないものか。

 すると、闇己の頭に一人の男の顔が浮かび上がった。

 ・・・七地。

 それは闇己にとって親族以外、初めて心を許せた人。

 口うるさいが、一緒にいてとても心が和む。

 一緒にいて安心するし、いつまでも一緒にいたいと心が願う。

 そして一つになりたいと。

 闇己は私用では滅多に使わない携帯を取り出し、七地の番号をディスプレイに出す。

 唯一、友達で登録している番号。 直ぐに掛けられる様に登録番号の1番に登録をしていた。

 あれ?でもあいつ学校だよな・・・。

 今日は平日だ。

 学校がないことはないだろう。

 ということは掛けてもでないか・・・。きっと今ごろ授業中だろうしな。

 通話ボタンを押そうとして、闇己はその手を止めた。

 でも、会いたい・・・。会って、ずっと一緒にいたい。

 しかしそれは自分の我侭だ。

 自分の感情で七地を振り回してはいけない。

 ただでさえ神剣探しに、布椎家の為に七地の時間を使っているのだから。

 これ以上、七地を振り回せない。

 それにこの間会った時、出席日数が足りなくて留年しそうだとか言ってたしな。

 軽くため息をつくと、

「仕方ないか・・・」

 携帯を元の場所に戻した。

 でも、会えないと思うと余計に会いたくなるもので。 さっきよりも会いたいと思う気持ちが強まっている。

 頭では理解しても心が理解してくれない。

 強い気持ちが互いにぶつかりあっておかしくなりそうだ。

 少し、遠目で見るくらいなら許されるかな・・・。

 会えないのなら、遠くから一目でも見れたらと闇己は思う。

 闇己はそう思うと、七地が通っている大学へ行くために、部屋から出ようとした。

 その時、携帯の呼び出し音が鳴った。

「ちっ、誰だよ。こんな時に」

 闇己は舌打ちすると、携帯を取ってディスプレイを見る。

 するとそこには『七地』とその携帯番号が表示されていた。

「マジかよ・・・」

 闇己は思ってもみない相手にすぐさま通話ボタンを押した。

「あっ?闇己君?俺、七地だけど」

 携帯からのん気な声が聞こえてくる。

 闇己はさっきまでの気持ちを抑えて、努めて冷静に対応した。

「何だ、七地か。どうした?」

 本当はこんなことを言いたくはないが、嬉しそうに言うのも何だか癪に障るので、いつもとおりに接する。

「今日公務でしょ?だから行ってらっしゃいと言おうかと思って」

 七地には前もって自分のスケジュールを言ってある。

 闇己が公務ではないときは、大体連絡を取って、遊びに来るのだ。

 学校の時は七地の都合がつけば学校まで迎えに来る。

 七地は闇己と一緒にいることが楽しいみたいで、自ら闇己の側にいる。

 嬉しい言葉に闇己はつい、顔が綻ぶ。

「・・・そう言ってくれるのは嬉しいが、生憎今日はその公務がキャンセルになったから、行かないことになったんだ」

「えっ?!そうなの?」

 七地は素っ頓狂な声を出す。

「それよりお前は何してんだ?今日は学校じゃないのか?」

「俺?俺は今日は学校はないよ。というより今日は1限目だけ出ればよかったから。じゃあ、闇己君今日は時間空いてるの?」

 まさか、という想いが闇己の脳裏に過ぎる。

 心臓が高鳴っていることがわかる。

 まさか、会えるのか?

「・・・ああ、空いてる」

 なるべくぶっきらぼうに言う。

 そうでもしなきゃ、嬉しくて声を上げそうだ。

「ホント?じゃあ、今から闇己君の家に行くよ。今、家でしょ?」

「ああ」

「どこか遊びに行こうよ。今からいくと車で10分くらいだと思うから、

ちゃんと支度しておいてね」

「わかった・・・」

「じゃあ、今から行くね!又ね〜」

 そう七地が言うとプチッ、という音がした。

 通話が切れたのだ。

 闇己は自分も終了ボタンを押して、携帯を切る。

 これから会えると思うと、にやけ顔が止まらない。

 これから会えるんだ。

 しかも一日中。

 長い時間一緒にいられると思うと、心が弾む。

 二人でどこに行こうか?

 闇己はこれから二人の時間をどう過ごそうか、考えた。

 先ほど空を見上げた時に天気が良いことを思い出した。

 闇己は又、空を見上げる。

 ・・・天気も良いし、海にでも行こうか。

 闇己は太陽がまぶしいので、目を細めた。

 なんだかとても清々しい気分だ。

 闇己はそう思うと、七地の到着を待った。

 

*****戯 言*****

久し振りの八雲です!!
仕事の合間に書いたので短いです。
仕事している最中にあまりにも良い天気だってので、
ちょっと皆の目を盗んで書いてみましたvv

次は連載の方を書こうかな?(←いい加減書けって感じ?)

 

 

 

Back

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送