「おはよう、マキノ!!」
ルフィが元気いっぱりに、店の中に入ってきた。
「おはよう、ルフィ。今日も元気ね」
マキノは店の仕度をしながら言った。
ルフィはその言葉を聞くと、しししっ、と笑う。
その笑顔がとても可愛い。
ぎゅう、と抱きしめたくなるほどだ。
マキノは何とかその衝動を抑えたまま、準備をちゃくちゃくと進めていった。
「そうだ、ルフィ。ケーキあるけど食べる?」
「ケーキ?!」
ルフィは嬉しそうに顔を輝かせた。
「食べる食べる!!」
にこにこっとしながらルフィは言った。
「じゃあ、少し待っててね。今持ってくるから」
そう言うとマキノは奥の方に入っていった。
少しするとマキノはお皿にケーキを乗せてのせて戻ってきた。
見るとそれは白い色をした、ケーキだ。
真ん中にちょこん、といちごが乗っている。
「うわぁお、ショートケーキだ!!」
ルフィはすぐ手に持って食べようとした。
「駄目よ、ルフィ。手で食べちゃ。そこにフォークがあるでしょ?フォークで食べなさい」
マキノは指でお皿の上に置いてあるフォークを指した。
「それと、物を食べる時はどうするんだっけ?」
マキノは母親口調で言った。
ルフィはしゅん、としながら、
「・・・手を洗ってうがいする」
「はい、よく出来ました。じゃあ、中に入って洗ってきなさい」
マキノはにこっ、と微笑んだ。
ルフィはそのマキノの笑顔につられて同じように微笑んだ。
「は〜い」
ルフィは素直に言うと中に入っていった。
「おはようございます、マキノさん」
「あら、シャンクスさん。今日は早いんですのね」
珍しく店が開店する前に、マキノは少し驚いた。
いつも来る時間は午後か夕方に近い。
夜遅くまで酒を飲んでいるので、中々朝早くは起きられないのだ。
マキノはそれを知っているので、さっきの様な言葉を言った。
「まあ、たまにはね。ちょっとルフィとでも遊ぼうかと思いまして」
そう言うとシャンクスはいつもの席に着いた。
するとふと、隣の席にあるショートケーキに目がいった。
「あれ?珍しいですね。ケーキなんて。誰か来てるんですか?」
「ええ、ルフィが来てるんですよ」
「ルフィが?早いな・・・。もうこんな時間から活動してるのか」
マキノはくすっ、と笑うと、
「シャンクスさんじゃないんですから。子供は早ね早起きなんですよ」
ちょっと皮肉を言った。
「こりゃあ、一本取られた」
シャンクスはそう言うとはっはっはっ、と笑った。
「あれ?シャンクス。珍しいね、こんな時間に店に来てるのって」
手を洗い終えたルフィが店の奥から顔を出した。
「よお、ルフィ。おはよう」
シャンクスはにかっ、と笑った。
ルフィはとぽとぽとケーキが置いてある席まで歩くと、よいしょ、と言って座った。
「いただきますvv」
ルフィはケーキの前で手を併せた。
・・・かわいい・・・。
シャンクスはフォークを握り締めながら一生懸命に食べているルフィを見て。ぽっ、と赤くなった。
まだ子供なのでフォークの持ち方がちゃんとなっていない。
上から掴む形でフォークを握っていた。
それを見たシャンクスは、
「・・・駄目だな〜、ルフィ」
「・・・?」
ルフィは口にケーキを頬張りながらシャンクスを見た。
口の周りにはもうすでに生クリームがついている。
「ほら、フォークはこうやって握るモンなんだよ」
ルフィの手に握ってあるフォークを一度離させて、ちゃんと正しい形で握らせた。
「ふ〜ん・・・。でも、これ掴みづらいよ」
「でも、それが本来の正しい持ち方なんだぞ。そのうち慣れるさ」
シャンクスはそう言いながら、ルフィの口の周りについている生クリームを指先で取った。
ぺろっ、と舐めて、
「うん、旨い!」
と言った。
「・・・シャンクスも食べたいのか?」
残り少ないケーキを目の当たりにしてルフィは言った。
・・・ケーキはどうでもいいけど、お前を食べたいよ。
とシャンクスはルフィが言ってくれた純真な行為を考えずに、不謹慎な考え方をした。
「いいや、大丈夫だよ。俺のことはいいからルフィが全部食べなさい」
ルフィはシャンクスとケーキを交互に見た。
「本当にいらないの?」
全部食べちゃうよ?という視線をシャンクスに送る。
「かまわないよ、食べちゃいなさい」
にこっ、とシャンクスは微笑んだ。
「・・・・・・・・・・」
ルフィは少し考えると、
「じゃあ、一口だけあげる。もうあまりないから」
残り少ないケーキをフォークで指して、シャンクスの口まで運んだ。
「へっ?」
シャンクスは何のことだかわからずにキョトン、とした顔になった。
「ほら、早く口開けてよ。腕がしびれちゃう」
一生懸命に伸ばす腕がプルプルと震えている。
・・・めちゃプリティー・・・・。
シャンクスは鼻血が出そうな勢いで、頭に血が上った。
こ、これってもしかして、いちゃいちゃカップルがよくやる『ア〜ンvv』ってヤツかぁ〜?!
ドキドキとしながらシャンクスはそのケーキを見つめた。
「シャンクス、食べないの?」
「ああ、ごめん。せっかくだから頂くよ」
シャンクスは『ア〜ンvv』をした瞬間に、
「あら、シャンクスさん。ルフィから貰わなくてももう一個新しいケーキありますよ。欲しいならそう言ってくださればいいのに」
マキノはそう言うと奥に入っていき、
「はい、どうぞ」
と新しいケーキを差し出した。
「・・・どうも・・・」
シャンクスは呆然としながら目の前にあるケーキを見つめた。
「よかったね、シャンクス。新しいの貰えて」
ルフィはにこにこ、と笑った。
フォークに指してあったケーキはすんなりとルフィの口の中に入っていった。
「あああああああああああああああああああああああっ!!」
俺のケーキ!!!
怒濤の声を上げる。
「なっ、何?」
ルフィはびっくりしながらシャンクスを見た。
「えっ・・・。いや・・・。あ、新しいケーキが貰えてよかったな、と思ってさ・・・。ははっ・・・」
顔が引きつりながらも何とか笑おうとした。
「そう、そんなに欲しかったんだ。じゃあ、本当に良かったね」
にこっ、とルフィは笑った。
「そ、そうだな・・・」
せっかくの『ア〜ンvv』初体験だったのに!!
シャンクスはそう心の中で怒鳴りながら、ふぅ〜、と深くため息をついた。
リクで甘いお話と承ったんですけど、どうでしょうか?
甘い話になってます?自分で出来る限り甘い話にしてみたんですけど・・・。
でも、最後まで甘く出来なかった・・・。どうしても落ちをつけてしまう自分にペケ!
あくあさん、こんな話ですけど受け取ってください!!!
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