今日、夢を見た。 大好きなあの人と出会う夢。 大きな時計塔がある街で出会う夢。 その街を歩いて時計塔の所まで行くと声を掛けられたんだ。 昔聞いたことがある懐かしい声。 忘れもしない大好きな人の声。 そのときゴーン、ゴーンと時計の鐘が鳴った。 ゴーン、ゴーン。 まるでその音は俺の心臓の音みたいに聞こえた。 でも俺の鼓動はもっと早く、音がその鐘よりも大きく聞こえたんだ。 周りにまで聞こえてるかな? 俺の心臓の音。 俺が期待すればするほど血液早く流れ、音が大きくなる。 ドックン、ドックン。 鐘の音を消すかのようにドックン、ドックン。 今にも血流が噴出してしまいそうになるくらいに、ドキドキしている。 そしていつまでたっても振り向かない俺にもう一度その人は声をかけたんだ。 俺はドキドキしながら振り向いた。 ・・・・・・・・やっぱり。 そこには大好きな人が立っていた。 片腕を広げて俺を待っていたんだ。 俺はいつのまにかその人に抱きついていた。 何度も何度もその人の名前を呼びつづけた。 今まで本人に言えなかった名前。 10年間分の名前を胸の中で呼びつづけた。 その人は俺が名前を呼び終わるまでずっと頭を撫でてくれた。 大きなその手でゆっくりと撫でてくれる。 その手はごつくて硬いのに何故か優しく感じられた。 ずっと撫でられていると心も落ち着きを取り戻し顔を上げて、一言、 「おかえりなさい。」 と言ったんだ。 その人が何か言いかけたときその夢は終わった。 ★ 「ルフィ!いい加減におきなさい!!もう上陸するわよ」 ナミがいつまでたっても起きてこないルフィを起こしにきた。 がばっと、毛布をルフィから剥ぎ足元に放り投げる。 「ルフィ、起きなさいって・・・ば・・・」 毛布を剥いだときルフィの顔が現れた。その顔にはうっすらと涙の跡がついていた。 「泣いてたの・・・・?」 いつも笑っているルフィには想像もつかないことだったのでナミは少しの間、ルフィを見つめていた。 少しすると毛布を取られて寒いのか、ルフィが身体を縮ませる。 ナミは少し間を置いてから、 「起きて、ルフィ」 ベットに腰掛けルフィの肩を軽く揺さぶる。 「う・・・ん。あっ、・・・・・・・ナ・・・ミ?」 目を擦りながらナミの顔を見る。 「やっと起きたわね。後少しで港に着くからそろそろ起きなさい」 「うん。・・・もう皆は起きてるのか?」 「当たり前でしょ?起きてないのはあんただけよ」 「そうか」 そう言ってから、 「俺、なんか懐かしい夢を見たんだ。よくわからないけど」 「何よそれ。よくわからないって。なんで懐かしい夢だと思うの?」 「う〜ん、なんかよくわかんねーけど、懐かしかったんだ。何で夢って覚えてないんだろうな。夢を見てるときはちゃんとその起こった事はわかってい るのに、起きたらあんまし覚えていないんだ。さっき見た夢、すっごい大事な夢だったと思うんだけど・・・」 唸りながら首をかしげた。 「さあね。なぜかしらね?それは私にもわからないわ。それに夢って不思議なところがあるし」 「不思議なところ?」 「ええ。よく言うでしょ?夢には何かのお告げがあるとかないとか。後その人が思っている欲望が夢という形であらわれるともいわれているし」 「思っている欲望・・・」 さっき見た夢で俺は何を見たんだろう? 何かすっごく大切な夢だったような気がするんだけど・・・。 何とか思い出そうとするが、思い出そうとすると尚一層思い出せない気がする。 「その夢、大事な夢だったんでしょ?だったらそのうち思い出すわよ。―ルフィ、次に着く町には大きな時計塔があるって聞くわ。気分転換がてらに 観光でもいってらっしゃいよ。いつもご飯食べて帰ってくるだけなんだから」 そう言うとナミは部屋を出て行った。 大きい時計塔。 どっかで聞いたような・・・・?確か誰かと会ったような・・・? 腕を組みながら考えていると、 「まっ、いっか。ああ、腹減った。飯でも食いにいこーっと」 ベットから飛び降りて食堂へ向かった。 この後、ルフィは先ほど見た夢と同じことが起こるとは夢にも思わなかった。 |
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