世界に数十社という会社を持ち、世界に名を連ねる大企業がある。 その名は“D”Company。 世界でもTOP5に入る程のbig businessだ。 ありとあらゆるものを商売にしている。 “D”は直感で次に何が流行るかがわかっており、流行る前に商品を流した。 そのかいあってか、“D”は瞬く間に大企業へと発展した。 異例の成長である。 現社長が直感力にモノを言わせて成長させた。 その社長には子供が二人いる。 20歳と17歳の男二人兄弟。 名前を兄がエース、弟はルフィという。 兄のエースは要領がよく、何でもそつなくこなしていた。 周りからは天才とまで呼ばれていた。 それほど優秀なエース。 しかし弟のルフィはエースと正反対で、頭を使うことが大嫌いだった。 勉強をするよりも体を動かすことが大好きなルフィは運動ばっかりしていた。 運動をしていたといっても、筋肉ばっかりではなく、程よい筋肉が見える綺麗な肢体をもつようになった。 器量の点ではエースよりもルフィに軍配があがった。 しかし“D”Companyに生まれた子供にとっては、運動ができるよりも頭が良い方が好ましい。 そしてこの先、エースが会社を相続するだろうと誰もが思っていた。 ルフィもその1人である。 自分が会社を継ぐよりはエースの方が遙に適任だと。 しかし、親はそれを許さなかった。 エースだけではなくルフィにもということだ。 運動するだけでしか能力を発揮できないルフィに何を、と会社の者たちは言う。 それ以前に“D”の家に生まれた以上はそれなりの頭脳を必要と考えていたのだ。 何処に出しても恥ずかしくないようにと。 そこで色々とルフィには家庭教師をつけていたが、どの家庭教師も全くルフィに勉強を教えることはできなかった。 逆に家庭教師の方からこの話はなかったことにと言われるほどだった。 これには流石の親も困った。 そして“D”としての感が働いた。 今までは真面目な名誉ある人、良識的な人間を教師として雇ったが、今度はその逆の人間をやとったらどうかと。 勿論頭が良いことを前提に。 そして厳選した結果、1人の男が選ばれた。 この男は頭が切れることは勿論のことだったが、普通の人だった。 これといって、勲章や名誉を貰ったことがなく、普通に過ごしてきた。 いや、少しばかり普通とはいえないかもしれない。 まあ、それはまた別においておいて。 とにかく普通っぽい男を“D”は選んだのだ。 この選択が間違っているのかいないのか、この時点ではまだ誰にもわからなかった。 ********** 「ルフィ様。今日から又新しい家庭教師がいらっしゃるらしいですよ」 ルフィ付きのメイド、ナミがルフィの身の回りの世話を焼きながら言う。 「また〜?親父も飽きないな〜」 顔を顰める。 「ルフィ様、親父ではなくお父様ですよ」 教育係り兼メイド役割を果たすナミ。 小さい頃からの友達だった。 ルフィにとって姉みたいな存在。 義母を持ち、義姉を持つナミ。 全く血のつながりがない家族だが、結束力はどこの家族よりも強かった。 本当の家族のように3人は暮らしていた。 義母は女でありながら、“D”が密かに養成させている軍人でもあった。 普段はSPとして“D”家の警護を行っている。 “D”の命令があれば、戦争にも参加するし、暗殺も行った。 戦争をしかけることは、他国にとっては大きなビジネスなのだ。 なんとかして戦争に勝たなければ、国が滅ぶ。 両国はそうなりたくはないので、他国に武力の要請や人員の養成をするのだ。 その中での武力はとてつもない金になる。 景気が悪くなると、簡単に戦争を仕掛けるのが巨大な企業のやり方となっていた。 金を潤すために。 その中でも“D”の活躍は凄かった。 戦争をふっかけることはしないが、武器を扱わせるのならば、“D”が群を抜いてトップだった。 その軍隊の中にナミの義母、ベルメールが大尉となって“D”に仕えている。 軍隊の主な将校は元帥(“D”)から始まり、大将−中将−少将−大佐−中佐−少佐−大尉−中尉−少尉−准尉−曹長−軍曹−伍長−兵長−上等兵−一等兵−二等兵と連なっている。 その中でも大尉となっているベルメールはかなりの位にいた。 いわゆるエリート軍人である。 ベルメールが“D”に仕えていても、娘のナミには関係ない。 だが本来ならば“D”の家に仕えなくてもよいのだが、ナミたっての希望であるので、メイドとして仕えてもらうことになった。 「それよりもナミ、今は二人なんだから呼び捨てでもいいぞ?幼馴染なんだから」 未だに顔をしかめっ面にさせながら、ナミが用意した服にルフィは着替えた。 家庭教師といえど、外部の人間だ。 正装とまではいかないが、まともな服装で迎え入れるために、スーツにネクタイと着替える。 「そうね。じゃあ、そうさせていただくわ」 にこり、とルフィに微笑む。 「ねえ、ルフィ。アンタいい加減に真面目に勉強したら?今度の家庭教師で13人目よ?」 まだ自分でネクタイを締められないルフィに代わり、ナミが締めてやる。 「そう思うんだけどさ。なんだか直ぐに飽きちまって。勉強よりも体を動かしていたほうが楽なんだよな。俺、頭使うよりも体を動かしていたほうが称に似合ってんだよ」 器用にネクタイを締めているナミの手を見つめた。 「私もそう思うわ。・・・はい、これでよし!」 綺麗に形どられたネクタイがルフィの首に締められている。 「なあ、ナミ。もう少しネクタイ緩めてくれねーか?何か苦しくってよ」 手を伸ばして緩めようとしたが、ナミに阻まれた。 「駄目よ、それ以上緩くしちゃ!それでも結構緩めている方よ?ネクタイぐらいは慣れなさい。これからずっとつけていくんだから」 めっ!と叱った。 ちえっ、とルフィは口を尖がらせて不機嫌な顔をする。 「はいはい、わかりましたよ」 「はいは1回!」 「は〜い」 「長くしない!」 「はっ!」 「ばかっ!短くしすだっちゅーの!」 ばこんっ、とルフィの頭を殴った。 「いってーー!」 頭を抱えながら、うずくまる。 「まったく、アンタときたら馬鹿なんだから」 腕組みをして、ため息をついた。 ふと見た先に時計があった。 時間を見て、ナミは焦る。 「あっ、いっけない!こんな馬鹿なとこしてる場合じゃなかったわ!」 脱ぎ捨てられている服をかき集め、両腕に抱えた。 「ルフィ、そのまんまの格好でいなさいよ!ネクタイ緩めたら怒るからね!もうそろそろ家庭教師が来るんだから!勉強道具を机の上に並べて置きなさい」 自分の主に向かってナミはビシッ!と指を指した。 「ほ〜い」 わっかりました、と言わんばかりにルフィは手を上げた。 それを見て、ナミは急いで部屋から出て行く。 「面倒くせーな・・・。家庭教師だなんて・・・」 しゃがみながら天を仰いだ。 天井に幼馴染たちの顔が映し出される。 「アイツ等元気かな・・・」 小さい頃は訳隔てなく、“D”家に仕えていた子供たちと一緒に遊んでいた。 その中でもナミを初め、ゾロ、ウソップ、サンジという4人の子供がルフィと一番仲が良かった。 その4人も自分から“D”家に仕えることを志願し、それぞれの部署に属している。 今は中々会えない友達。 友達というよりも仲間という感覚のほうが近い。 ずっとこいつらと一緒に生きて行けたら、とルフィは思う。 自分だけこんな狭い部屋に閉じ込められて、人の監視なくしては生きられない部屋から抜け出したいんだ。皆と一緒に生きたい。 そう切にいつも願っていた。 「よしっ!今回は頑張ろう!早く一人前になって、皆と一緒に仕事するんだ!」 ルフィは握り拳を作り、ふんっ、と鼻息を荒くする。 その時、コンコン、と部屋の扉が叩かれた。 「ルフィ様。家庭教師の方が参られました」 ナミの声が聞こえてきた。 「どうぞ」 ルフィはいつもの様に声を掛ける。 ナミはその声を聞いて、扉を開け入る前にお辞儀をした。 「失礼します。ルフィさ・・・・・・まーーーーーって!アンタ一体何してんのよ?!」 もの凄い形相でルフィを睨む。 頭を上げて部屋を見ると、先ほどのかっこうのままルフィは床にしゃがみこんでいた。 「何だよ。お前が言ったとおり、このまんまの格好でずっといただろうが。何怒ってんだよ」 ぷっくりと頬を膨らませる。 その姿がとても可愛い。 「そう言う意味で言ったんじゃないわよ!世界のどこにそんな格好をしてお客様を迎える人がいるの!アンタ、本当に馬鹿でしょ?!」 ナミはルフィの頬を掴んで、横に伸ばした。 びよ〜ん、と伸びる。 「ひ、ひひゃいお、はみぃ」(痛いよ、ナミ) 「だったら、今度はちゃんとしなさい!全く、もうっ!」 パチンッ、と抓っていた頬を離してやる。 「いたっ!」 涙目になりながら、引っ張られた頬を擦る。 「くくくくっ・・・」 後ろで男が口に拳を作りながら、笑っている。 「はっ!私ってば何やってるのかしら!」 ナミは正気に返り、顔を赤らめる。 「面白いですね、いつもそんな事をやられているのですか?」 そう言う男の目には少し涙が溜まっていた。 どうやらよほど受けたらしい。 まだ、笑っている。 言葉にも笑いが見える。 「い、いや、いつもってことじゃないんですけど・・・」 はははっ、と乾いた笑いをした。 そしてルフィをキッ、と睨む。 その視線には「後で覚えてなさいよ!」とでも言いたげだ。 ルフィはそんなナミを見てしししっ、と笑う。 こっほんっ、と咳を一つすると、 「ルフィ様。改めて申し上げます。こちらが今日から勉強を見てくださることになったシャンクス様でいらっしゃいます」 メイドの顔になり、ルフィを敬った。 「くくくっ・・・。よ、宜しく。ルフィ君」 つぼに入ったのかまだ笑っている。 ルフィはナミに紹介されてはじめて、シャンクスを見た。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 その視線が止まる。 赤い髪がルフィの視界に飛び込んできた。 その赤い髪に目が止まった。 「・・・ルフィ様?」 返事をしないルフィにナミが問い掛ける。 「・・・アンタどっかで俺と会ったことない?」 黒くて大きな瞳がシャンクスを見た。 「さあ、俺は存じ上げませんが。・・・それ、ナンパですか?俺もよくナンパするときに使いますよ」 笑うのを止め、にこっと微笑んだ。 するとルフィは真剣な瞳で、 「ナンパって何だ?」 と問うた。 「はい?」 「だからナンパって何だ?」 「・・・・・・・・・・・・・」 笑顔のまま、シャンクスは止まる。 「ああ〜、ナミさん?この子はナンパって言葉をご存知ではないのかな?」 「ええ、多分。そんなナンパなどしなくてもルフィ様の周りには女方が沢山いらっしゃいますし。それに1人で外を歩かせませんから」 財産目当ての女共のことをナミは指した。 ナンパなどしなくても、ルフィの周りには人が集まる。 それは女であれ男であれ“D”の財産や名誉に近寄ってくる人間共。 外に出れば誘拐だなんだで、とてもじゃないが1人でなんか歩かせられない。 ナンパだなんて、今までもそしてこれからもルフィには必要のない単語。 そんなことをしなくても、金の亡者どもは集まってくるのだから。 「ふ〜ん・・・。そう言う楽しみも知らないのは可哀相だね」 ナミはその言葉を聞くと、一瞬悲しそうな顔をした。 シャンクスはその一瞬を見逃さなかった。 ちらりと見て、ナミが元の表情に戻っていることを確認すると、 「ナミさん、連れてきてくださってありがとうございます。これから勉強に入りますので」 「そうですか。それでは宜しくお願いします」 深々と頭を下げる。 「いいえ、こちらこそ」 ナミは頭を上げると、 「では、失礼します。―――ルフィ様。ちゃんと勉強してくださいましね」 にっこりと笑った。 その笑顔がルフィにとって恐ろしく感じる。 「お、おう!」 ついどもってしまう。 ルフィの言葉づかいに目じりを少し吊り上げながらも、ナミは静かに部屋から去っていった。 「では、ルフィ君。勉強を始めようか?」 「それよりもナンパって何だ?」 「ルフィ君が知るようなことじゃないよ」 「でも、知りたい!」 ふぅ、とシャンクスはため息をつくと、 「ナンパと言うのはね、船が暴風雨などにあってこわれたりひっくりかえったり座礁したりすることだよ」 「座礁?」 「船が陸とかに乗り上げちゃって、動けなくなること。つまりは難破とは船が壊れちゃって動けなくなることだよ。わかった?」 ルフィは首をかしげて、ん?と唸る。 「・・・・・・・・・・・・・わからん」 「じゃあ、忘れなさい。別に覚えておかなくてもいいことだから。君には必要のない知識だよ。・・・・・・教えても無駄そうだし」 最後の言葉はぼそっ、と自分に言う。 「じゃあいいや。俺、覚えるの苦手だから」 しししっ、と笑った。 「・・・らしいな」 これから先が思いやられる、とシャンクスは項垂れる。 「あっ、そうだ!シャンクス!俺のこと呼び捨てにしていいよ」 「・・・そう言うわけにはいきませんよ」 「いいって。ナミだって二人っきりのときは呼び捨てにさせてるし。まあ、アイツは幼馴染だから呼び捨てにされたほうが気が楽なんだけど」 「なるほど、幼馴染か。だからあんなに仲が良いんだ」 「うん!だから、シャンクスも二人きりのときは呼び捨てにしてもいいよ。様とか君とかつけられるの俺、嫌いなんだ」 「・・・なら仕方ないな。嫌だというものをやるのは俺の主義じゃないし。いいだろう、ルフィ。これからは呼び捨てにさせてもらうよ」 にやりと笑う。 その笑顔を見て、しししっとルフィも笑顔を見せた。 「では、ルフィ。勉強でも始めようか?」 「ヴッ!!」 笑顔が急に引きつる。 目の下をひくひくとさせた。 「・・・ったく、そんな顔すんなよ。じゃあ、仕方ない。今日は勉強じゃなくて、オリエンテーションでもやるか」 大きな手でルフィの頭をぽんっ、軽く叩く。 「オリエンテーション?」 「そっ!ほら、俺たちはじめて会ったばかりじゃねーか。だから仲良くなっておいたほうが、気兼ねなしに勉強ができるだろ?だから今日は勉強じゃなくて色々な話をしたり、遊んだりと仲良くなろうっという事だよ」 ぱちんっ、とウインクをした。 ルフィの表情はぱぁ、と明るくなる。 「本当かぁ〜?俺、遊んでもいいの?シャンクス、一緒に遊んでくれるの?」 子供のようにはしゃぐ。 それを見てシャンクスは自然に笑った。 「ああ、いいよ。お前の好きなことをやらせてやるよ」 「へへっ、シャンクスっていい奴だな」 鼻の下を指で擦る。 「だろ〜?もっと俺がいい奴だってこと教えてやるよ」 「うん!俺、シャンクスの事もっと知りたい!・・・シャンクス、今までの家庭教師とちょっと違うな」 「そうか?」 「だって、今までの人は初めから勉強勉強で五月蝿かったし。それに俺に笑いかけてくれなかった。俺のこと見ていてもどこか遠くから見ているようで。ちゃんと俺のことを見てくれている人はいなかったんだ。親父だって見てくれなかった」 ルフィは唇をぎゅっ、と噛む。 「・・・ルフィ?」 どんどん気分が下降気味になっていくルフィをシャンクスは案じた。 「でもさ、エースやナミたちはちゃんと俺を見てくれたんだよ。そして、シャンクスも。俺に笑いかけてくれたし、自然に接してくれてる。それが、俺にとってすごい嬉しいことなんだ。・・・よかった。今度の家庭教師がシャンクスで」 へっへっ、と笑う。 その瞬間、シャンクスはルフィを抱きしめていた。 「シャンクス・・・?」 ルフィはいきなり抱きすくめられて驚いた。 瞼をぱちぱちと瞬きをさせる。 「・・・ちゃんと見てやるよ」 低い、小さい声でシャンクスは言う。 「えっ?何?」 「ちゃんと俺がお前のことを見てやる。だから、そんな悲しい笑い方はするな。見ていて悲しくなる」 シャンクスは頭をゆっくりと撫でてやる。 何度も何度も、ゆっくりと。 そのうちルフィはぽろぽろと涙を流した。 次第に嗚咽を漏らし、シャンクスに抱きついて泣き喚いた。 「お前は1人じゃないよ。ナミさんや他にもいるんだろ?お前を見ていてくれる奴等が。お前はそいつらを大切にしろ。俺もお前を見ていてやるから」 言い聞かせるように、心を込めて言う。 親の愛情を受けていたらこんなにも鬱にはならないのに・・・。あの人は自分の子供に愛情を注いではいないのか? シャンクスは元帥に当たるルフィの親を思い浮かべた。 底知れない力を持っている彼の人。 到底自分の力じゃ及ばない。 カリスマ性を持ったルフィの親。 ―――龍崎 金斗。 ・・・少しは自分の子供にも気を使ってやればいいのに。 泣き止みそうなルフィをぎゅ、っと強く抱きしめた。 ・・・友達だけの愛情は悲しすぎる。 シャンクスはルフィの孤独を心の中で嘆いた。 するとルフィはシャンクスを少し押しのけて、顔を見せる。 「へへっ。ありがとう、シャンクス。何かすっきりした」 鼻や目を赤くさせならが、はにかむように笑った。 「そうか、なら良かった」 シャンクスも笑う。 ずびずびっ、と鼻を啜りにかっ、と笑うと、 「何か、シャンクスって父親みたいだね。俺、親父とあんまり話したことないからわからないけど・・・」 お、親父・・・? シャンクスはハンマーで頭を殴られたような気がした。 俺ってそんなに老けてるかな・・・? 「ルフィ・・・。俺はお前の親父さんよりもかなり若いぞ」 これでもまだ30前半ぐらいには、たまには20代にも見られる事だって・・・。 今まで若く見られていたのに、龍崎と比べられてシャンクスはショックを受けた。 「ん?違うよ、そう言う意味でいったんじゃなくて・・・。見た目じゃない、雰囲気というかなんというか。色々な話聞いていて想ったんだ。きっと父親ってこんな感じなんだろうな〜って」 「・・・・・・・・・・・・」 シャンクスはくすっと笑うと、ぽんっとルフィの頭に手を乗せた。 「ありがとよ」 なんにせよ、ルフィは自分を受け入れてくれた。この子の本当の笑顔が見れるならそれでもいいさ。 それだけでシャンクスは満足だった。 「ねえねえ、シャンクス。シャンクスは幾つなの?親父よりも若いなら30代?」 「ピンポーン。・・・さて、問題です。30代の一桁の数字はいくつでしょう?」 指を立てて、問題を出す。 「えっとね、えっとね」 一生懸命に考える姿がとても愛らしい。 ぴ〜ん、ときたのか、目を思い切り見開く。 「あっ、37歳!」 そうでしょ?そうでしょ?と目を輝かせながら聞いてきた。 「・・・・・・・・・・・・正解」 「やったぁ〜!!!」 ルフィはぴょんぴょん、飛びながら喜ぶ。 「・・・なんでわかった。結構、皆騙されるのに」 ショックを受けているのか、がっくりと項垂れている。 結構自信あったのにな〜・・・。 「感・・・かな・・・。何となくそう思っただけだよ。シャンクス鍛えてるのか、筋肉結構ついてるし一瞬、30代前半かなと思ったんだけど、何か違うような気がして・・・」 少し首をかしげながら解答を言う。 本人でもわからないルフィの感。 ・・・なるほど、ルフィには元帥の直感力が備わっているのか。兄にはない直感力が・・・。だからこれほどまでにルフィに勉強させるわけだ。 天才児と呼ばれるエースと元帥遺伝の直感力を持ったルフィ。 この二人が将来この会社を継げば“D”家はもっと繁栄することになる。 この子には会社を経営することは無理な話だが、会社の天機や運を見極める力がある。 二人が揃えば最強だ。 シャンクスはにこにこと笑っているルフィを見た。 どうやら俺は、お前に一生ついていくことになりそうだな・・・。将来の元帥・・・。 シャンクスはまだ幼いルフィを見て、無意識に笑った。 愛しい者を見るような瞳で。 |
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