快晴。

 今日はとても青空が綺麗な日。

 サンジは晴天の中タバコを吸いに外に出た。

「すげーいい天気だこと」

 タバコに火をつけ、ぷか〜っと煙を吹かした。

 天気が良いおかげで、気温も温かい。日光の光がサンジを照らす。

 ポカポカと気持ちよくて、うたた寝しそうなぐらいだ。12月にしては今日は格別に暖かい。

 それもそのはず。それには理由があるのだ。

 グランドラインは気候がめちゃくちゃで冬でも夏でも関係ない。ナミさんが言うには」今、この船は春島の辺りを通過しているので、暖かいらしい。

 12月にこんな陽気だったら世界はやべーよな。

 上着を脱ごうかとしている程の気候だ。

 サンジは脱ぐまでにいかないにしろ、上着のボタンを外し風通しを良くした。

 するとナミがやってきて、ミカン畑の木に飾り付けを始めた。

「ナミさん、何してるんですか?」

「あら、サンジくん。いたの?」

 冷たい言葉がサンジのハートにぐさっときた。

 ぐっ!!ナミさんは相変わらずだな・・・。心が痛いぜ。

「ええ、ナミさんがいるところには常にサンジ有りです!!」

 サンジは負けじと言った。

「そう。―――、ねえ、サンジくん。暇なら手伝ってくれない?」

「?・・・いいですけど。一体何をやっているんですか?」

 サンジはミカン畑に近づきながら言った。

「何って見てわからないの?」

 ナミは下に置いてある箱から物を取り出して木に飾った。

「全くわかりませんけど・・・」

 サンジはとりあえず箱から物を取り出した。

 キラキラに光っている紐を手にした。

「今日はクリスマスでしょ?!忘れたの?」

 腰に手を当てながらナミは言った。

「クリスマス・・・」

 そうだった!!今日はクリスマスだ!!うっかりしてたぜ!

 サンジははっとした。

「忘れてました!!!ありがとうございます!ナミさん」

 サンジはそう言うと手にしていた紐を箱の中に戻し、

「すみません、夕食のセッティングがあるので手伝えません」

「いいわよ。ビビや男連中に頼むから。その代わり、おいしい料理食べさせてね」

 パチッ、とナミがウインクをした。

 サンジは目がハートになると、

「勿論ですとも!!お任せください!!」

 ぺこりと頭を下げるとサンジは速攻で厨房の中に入っていた。

 早めに気づいたのが功を奏したのか、サンジはギリギリでセッティングが間に合った。

 料理もうまくでき、飾りつけもできた。

 男連中はやっぱりクリスマスに気づく事もなく、食事の量や種類、又部屋の飾りつけなどに驚いていた。

 ナミから「クリスマスよ」と言われ、説明をされてもゾロやルフィにわかるはずもなく、ただ料理の旨さに慄いていた。

 ナミやビビは料理は勿論のこと部屋の飾りつけにもサンジにねぎらいの言葉をかけた。

 サンジは男連中にわかってもらえるとは思っていなかったので、二人に褒められただけ嬉しかった。

 腹いっぱいになると、男達はすぐにねぐらに帰っていった。ナミやビビは後片付けが大変だからと言って、手伝ってくれた。

 二人に手伝ってもらって全てが片付くと、サンジはテーブルについて休憩した。

「ふぅ〜・・・」

 とタバコを吸い始める。

 ・・・疲れた。

 手伝ってもらったとはいえ、いつもの3倍以上は動いたので、休憩に入ったら速攻で疲れがでてきた。

 もうちょっと早く気づいていたらな。前もって準備ができたのに・・・。それに・・・。

 愛しい人の顔を思い浮かべる。

 ルフィに何もプレゼントを買ってねーよ。

 自分の情けなさに涙がでてきそうになる。

「俺としたことが・・・」

 ぼそっ、と呟き、机にうつぶせになった。

「何が俺としたことがなんだ?」

 顔を上げると目の前にはルフィがたっていた。

「ルフィ・・・。別に、何でもねーよ。―――それよりどうしたんだ?お前、まさかもう腹が減ったのか?」

「うんん、違う。まだ腹はすいてない」

 プルプルと首を振った。

「じゃあ、何だ?」

「これっ!」

 ザッ、とサンジの前に手を出した。その手には小さな紙袋を握り締めていた。

「・・・なんだ。その紙袋は」

 まさかと思いながらも、聞いてみる。

 そんなはずはない。ルフィがクリスマスを知っているとも思えない。

 サンジはルフィと紙袋を交互に見た。

「これ、クリスマスプレゼント!」

 ルフィがにこっ、と笑いながら言った。

 うっそ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!マジでぇ〜〜〜〜〜〜?!

 サンジは叫びたい気持ちでいっぱいだった。

 まさかあのルフィからクリスマスプレゼントを貰うとは夢にも思わなかった。

こんな嬉しい事が起こっていいのかよ!!

 慄きながらも、サンジはその紙袋を受取った。

「ルフィ、ありがとう」

 満面の笑みでサンジは笑った。

 まではよかったが・・・。

 しまったーーーーーー!!俺はプレゼントなんて用意してなかったんだ!!プレゼント交換っていうのは恋人同士のやることじゃねーか!ルフィがプレゼントをくれるってことは俺にその気があるって事だよな?――――はっ!しまった!!俺にはプレゼントがない・・・。

 面目ないといった表情でルフィを見ながら、

「ルフィ、あのな。俺、さっきまでクリスマスだってこと忘れててよ。それで・・・・、その、何だ。プレゼント用意してねーんだよ。・・・スマン!!」

 サンジは平謝りをした。

 こんなにラッキーな機会なんて滅多にないのによ〜。こういうときに洒落たプレゼントの一つでもあればいい雰囲気に持っていけるのにな。何で俺にはそのアイテムがねんだよ!!

 サンジは叫び気持ちでいっぱいだった。

「・・・何面白い顔してんだ?」

「気にしないでくれ」

「そうか。じゃあ気にしない。俺、プレゼントいらねーぞ。これ、ナミから預かったモンだから」

「へっ?」

 ナミさんから預かった・・・?

 きょとん、とした顔になる。

「うん、俺からサンジに渡してくれって。そうすれば喜ぶからって言われて預かった。うんでこれを・・・、あっ!!いっけねー」

 ルフィもしまった!という顔をした。

「どうした?」

「これサンジには内緒だったんだ」

「何を?」

「俺からじゃなくてナミからだってこと。このプレゼントは俺からサンジに渡したって事にしなきゃならなかったんだ。いっけねー」

 ポリポリと頭をかいた。

「そ、そうか・・・」

 事実がわかってサンジはショックを受けた。

 そうだよな。ルフィがクリスマスなんて覚えているわけねーもんな。

 サンジは泣きたくなってきそうなのを我慢した。

「ルフィ、ナミさんにありがとうと伝えてくれ。あっ、言えねーか」

「ばれちまった以上は関係ねーさ」

 しししっと笑う。

「じゃあ、よろしく伝えてくれ」

「おう、わかった。じゃあーな」

 そう言うとルフィは出て行った。

 サンジは笑ってルフィを見送った。

 俺のバカ・・・。

 サンジはナミのありがたさに感謝しながらも、泣きたい気持ちになった。

・・・クリスマス、嫌いになりそう・・・。

深く、重くため息をつきながらサンジは椅子に座り込んだ。

 

 

 

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