食事を食べ終えた後チョッパーはマストの先端にいた。

 ここはルフィがいつも座っていた場所だった。

 確か俺の記憶ではいつもここにいたな。

 チョッパーはちょこん、と座った。ルフィが見ていた海を眺める。

 やっぱり海は綺麗だ。こいつらと一緒に出てきてよかった。

 などと思う。

 チョッパーは今まで起きた事が走馬灯の様に駆け巡った。

 始めてドクターと出会った事。傷つきながらもドクターは俺の治療をしてくれた。そして俺にトニートニー・チョッパーと名前をつけてくれた事。ドクターと一緒に危険な目に遭いながら患者を診てまわった事。この帽子を貰った事。

 そして、・・・そして俺が取ってきたキノコ、アミウダケでドクターが死んでしまった事。

 チョッパーの目から涙が落ちた。

 ごめんなさい、ごめんなさい。ドクター・・・。

 チョッパーから少しずつ嗚咽がもれ始めた。

「チョッパー?どうしたの?」

 その声に後ろを振り返るとナミがいた。

 ナミはチョッパーの顔を見て驚いた。

「チョッパー!どこか痛いの?」

 心配そうにナミはチョッパーの顔を覗き込む。

 そういわれるとチョッパーはブン、ブンと首を振った。

「どごもっ、・・・痛ぐない・・・」

「チョッパー・・・」

 ナミは無理して笑おうとするチョッパーが悲しく思えてきた。

「ねぇ、チョッパー。何が悲しくて泣いているのかわからないけど、それを乗り越えなければ先へは進めないわ。私だって辛い事がたくさんあった。そりゃ毎日泣きたかったわ。でも我慢した。ここで泣いたら私の負けだってね。でも今はこうやって楽しくやってるは。悲しいなんて思ったことは一度もない。ただ故郷にいる姉や村の人たちを思うとたまに寂しくはなるけどね」

 そう言ってナミは笑った。

「・・・・一度も泣いた事はないのか?」

「それはあるわ。前に大泣きしたときはルフィ達の前だったし」

「ルフィたちの?」

「ええ。あいつらが私達の辛い過去を救ってくれたの。それが嬉しくてついね」

「・・・・・」

「だから泣くなとは言わないわ。辛くても過去は過去として認めていかなければならない。それが出来て初めて強くなるのよ。チョッパー、あなたもね」

 ナミはチョッパーに笑いかける。

 多分ナミは何故泣いているのかが想像できたのであろう。

 誰のことを思って泣いているのかが。

「私はには死んだ母がいるのよ。義理だけど。でもその人は目の前で殺されてしまった。子供の私にはどうすることもできなかった。昔はそれを思うとずっと泣いてたわ。でも今は笑って思い出すことができる。だって辛い思い出よりもそれまでの楽しい思い出があるじゃない?だったらそれを胸に抱いてさ、人生楽しく行こうよ。ねっ?」

 チョッパーはナミの顔を見る。

 するとなんだか胸が熱くなっていくのを感じた。

「うん、うん!俺もドクターとの大事な思い出、ナミみたいに笑って思い出せるようにするよ!そのほうが楽しいもんなっ!」

 てへっ、とチョッパーが笑う。

「その意気よ、船長」

 ナミはウインクをした。

「うん!」

 チョッパーは大事な仲間をもったと思いながらも海を見つめていた。

 

 

 

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