「つ、疲れた…」 香はポスンッ、とソファーに倒れるようにして横になった。 一緒に仕事をしていた僚は今、この部屋にはいなかった。 どこにいったのかしら…? そう思いながらも、体は全く動かなく、天井を見ているだけだった。 本当だったら、今のこの時間は皆で一緒になってクリスマスパーティーをやっているはずだった。 今日は12月24日。 街中では恋人たちが大いに盛り上がる日であった。 この日は美樹主催でクリスマスパーティーをやることになっていたのだ。 前日までそのクリスマスパーティーに行く予定だったが、当日になっていつもの伝言板を除きに行くと、そこには仕事の依頼が書き込まれてあった。 しかも至急頼む、と…。 香は溜息をつきながらも、クリスマスパーティーよりは、仕事と思い、この仕事を引き受けた。 だって、仕事しなきゃ私たち生きていけないもん。 実際に、金銭面では冴羽家は行き詰まっており、仕事をしないと生きていけなかったのだ。 まだ、生活面ではどうにかなるが、銃の弾の補給や火薬等の武器の金銭面は全く持ってどうにもならなかった。仕事をする上で、武器は必要なので、仕方なく仕事を引き受けた。 結構気風の良い依頼人で、依頼料も結構弾んでくれた。 これならば正月は優雅に越せそうだ。 香は何度目かの溜息をつくと、TVのスイッチを入れた。 見るとブラウン管の中には幸せそうな、楽しそうな雰囲気の街並みが映っていた。 きらびやかに輝いている街や、綺麗にお化粧や着飾っている女の人たち。 それを見て香は情けなくなっていた。 こんな世界に生きているから仕方ないと思いつつも、やはり心のどこかではこういう風に着飾りたいという思いがあることは確かなのだ。 はぁ〜、と溜息をつく。 「おい、そんなに溜息をついているとおばさんになっちまうぞ」 そう言うとどこからか現れた僚がコンッ、と香の額に何かを置いた。 「僚…。何、これ」 香は上半身の起こして、ソファーに腰掛けた。 その隣りに僚も腰掛ける。 それは手にすっぽりと入るほどの小さな包みだった。綺麗にラッピングされている。 まさか、と思い香は僚を見た。 するとそっぽを向いて顔を赤らめている僚がいた。 香は急いで袋を開けて、中を確認すると赤い四角い箱が姿を現した。 その箱を開けると、そこには青いハート型のピアスが綺麗に並べられていた。 「これ…」 「メリークリスマス、香」 僚は優しくそう言った。 香は僚を見ると、嬉しそうに微笑んだ。 「僚、ありがとう!」 嬉しさのあまり、香は僚に抱きつき、胸に顔を埋めた。 「私、嬉しい………」 ほろり、と涙が頬を濡らす。 すると香はあることに気が付いた。 「あっ、私僚にプレゼント買ってない!今日買いに行こうかと思ったんだけど、そんな時間なくて…。ごめん…」 香はしゅん、と暗い表情をさせる。 僚はそんな香を見て、ふっ、と笑った。 「いいさ。そんなの。いつも俺の為に働いてくれるお礼だよ。それと、こんな俺に愛想もつかないで側にいてくれているお礼さ」 そう言うと僚は香の額にちゅっ、とキスをした。 「僚…。ありがとう」 珍しくストレートな言葉に、香は赤面した。 「それに、プレゼントなら今から貰うから心配しなくていいさ」 「えっ?それってどういうこと?」 そう香が言うや否や、気がつけば僚に押し倒されていた。 「こういうこと…」 そう言うと僚は香の唇にキス、一つ落とす。 「………高いわよ?」 香はどう言う意味かを理解すると、くすり、と笑った。 「知ってるさ」 僚もつられて一緒に笑う。 「なら、ベットに連れて行って」 僚の首に腕を回し、誘惑する。 「了解、お姫様」 そう言うと僚は香を起こし、抱え上げた。 すると香は僚の耳元でこう呟いた。 「メリークリスマス、僚。これからもよろしく」 その言葉を聞くと、僚は「ああ」と言った。 その僚の顔は幸せそうに微笑んでいて、見ている自分も幸せになった。 TVに映っている人たちを見ても、今は羨ましくは思えなかった。 どんな時でも一緒にいられる人がいれば、その場所はいつでも幸せな場所になる。 着飾ることなんて関係ない。 目の前に愛して、愛する人がいればそれでいい。 側にいられればそれで。 香はそう思うと、素直に僚に体を預けた。 |
*****戯言***** お久し振りのシテハンです。 |
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