どんよりと空が薄暗い中、香はリビングでため息をついていた。

「何、さっさきからため息ばっかりついてるんだよ」

 撩は新聞を読みながら言う。

「ため息ぐらいつきたくなるわよ。こう毎日毎日天気が悪い上に、仕事の依頼もなし!これでため息つくなという方が無理よ」

 そう言うと香は又、ふぅ、とため息をつく。

 こうも天気が悪いと、洗濯物がよく乾かないし部屋中じめじめして嫌なのよね。

 ここ数日の洗濯物の乾きが良くなくて、部屋の中に干しているのだが、部屋の中が湿気臭くなっていた。

 あ〜あ、早くふかふかのお布団で眠りたいな。

 香は早く天気が良くなるようにと、祈っていた。

 そう祈っても一向に天気が回復しないので、香は再びため息をつく。

 それを見ていた撩は、

「だぁ〜!!そのため息はやめろ。こっちまで暗くなっちまうわ!」

 新聞をぐしゃ、と握りつぶす。

「ああ!ちょっと、何新聞ぐしゃぐしゃにしてるのよ。私まだ読んでないんだから!」

「お前がため息ばっかりついているから悪いんだろうが!」

 ぐしゃぐしゃな新聞をテーブルの上に投げる。

 香は「うんもう!」と言いながら、新聞を広げ直した。

 しかし撩の馬鹿力で握りつぶされたので、回復は困難を極めた。

中の文字は見えずらくなっていた。

 ふと、新聞の裏面に目がとまる。

 そこには明日の今日と明日の天気予報が書かれていた。

 その予報に香は又ため息をつく。

「家にいても湿っぽくなるだけだから、ちょっと伝言板でも見てくるわ。撩、お留守番お願いね」

 新聞を折りたたんで、「はい」と撩に渡した。

「どうせ行っても依頼なんかねーよ」

「わからないじゃない、そんなの。それに何かしてないと気が滅入りそうだし」

 撩はその言葉を聞くと、

「じゃあ・・・」

 と言って香の腕を取った。

「何?」

 わけがわからずにきょとん、とした顔をする。

「何かしていたほうが気が滅入らないんだろ?」

 にやりと撩は笑った。

 香はその撩の顔に少し不安感を覚えつつも、

「ええ」

 と言った。

 撩はその返事を聞くと、更ににやけ顔になった。

 ・・・なんかやばい気がする。

 香の第6感が働き、撩の腕から逃れようとした。

 掴まれている腕を引っ張る。―――が、びくともしない。

 どうにもならなくて香は怪訝な顔をする。

「・・・ちょっと、いつまで掴んでるのよ。これじゃあ、伝言板見に行けないじゃないの」

 何度か引っ張り、取れないということを証明する。

「いいじゃない。香ちゃん、何かしていたほうがいいんでしょ?だったら俺といいことしようよ」

 にんまりと撩は微笑む。

その笑顔に香はぞっーと背筋に寒気が走った。

「なっ、何よ。いいことって」

 声がどもる。

「俺といいことって言ったらアレしかないじゃない」

 その言葉を聞いて香は、

「ア、アタシちょっと伝言板見に行ってくるわ。依頼あるかもしれないしね」

 そう言って撩から離れようとする。が、ぐいっ!と引っ張られて撩の腕

の中にすっぽりと収まってしまった。

「大丈夫、大丈夫!明日行けばいいよ」

 香を腕の中に閉じ込めてぎゅう、と抱きしめる。

「ちょっと、撩!離しなさいよ」

 顔を真っ赤にしながら香は暴れた。

「まあまあ、そんなに騒がないの。そんなに騒ぎたければベットで騒いでよね」

「ベットって・・・」

 香は暴れるのをやめて、撩の顔を見る。

 撩の顔を見るなり、香は又暴れ出した。

「このスケベ!まだ昼よ?!何考えてんのよ!」

 かなり助平な表情だったらしい。

「何考えてるってナニに決まってるじゃないの〜、香ちゃん」

 撩はそう言うと軽々と香を持ち上げた。

「こら!撩、下ろしなさい!」

 お姫様抱っこをされて、香は暴れる。

「だって香ちゃんが言ったんだよ?何かしていないと気が滅入るって。だから撩ちゃん香ちゃんに協力してあげようと思って」

「だったらもっと他の事しない?撩」

 昼間からという羞恥心か香は何とか寝室行きを止めにしたい。

「い・やvv」

 可愛く断られる。

「嫌はこっちの台詞よ!!」

 ジタバタを暴れるがどうにもならない。

「そう照れない照れない」

 撩はそう言うとルンルン気分で寝室に連れて行った。

 もう天気が悪くても撩の目の前でため息なんかつくもんかー!

 香は心の中でそう誓いながら、お互いの体力がなくなるまで楽しい

事をしました。(ちゃん、ちゃんvv)

 

 

*****戯 言*****

ストーリー性がなくてすみません。
ただの甘いお話になってしまいました。
最近雨ばっかだから、書いたお話。雨ってホント、憂鬱だわ。

 

 

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