ズキュン! ブラウン管の中から銃声らしきものが聞こえてきて撩は振り向いた。 あまりにも本物に近い音で少し驚く。 最近は音響も高性能になったな〜。 そう思いながら食後のコーヒーブレイクを楽む。 テレビだと安心するとふと、香に目が止まった。 すると香が真剣な表情でテレビを見てる。 何がそんなにおもしろいのかね。こんなドラマ・・・。 撩はコーヒーを啜りながら香を見ていた。 すると香の目から一筋の涙が零れ落ちた。 なっ、何で泣いてるんだよアイツは・・・。 疑問に思い撩は原因だと思われるテレビに視線を向ける。 見ると今にも死にそうな男が口の端から血を流しているドアップが映っていた。 そして美人な女性が映ると、 「死なないで・・・。貴方が死んだら生きていけないわ」 画面の女性はポロポロと涙を流しながら迫真の演技をしていた。 どうやら男が瀕死の状態で女が泣いているシーンらしい。 ・・・まさかコイツこのドラマと俺達を重ねて見てるのか? 以前の撩ならそんな話は馬鹿げてると笑ったが香と体の関係を持ち、 心も一つになれた今、そんな事はできなかった。 「香・・・」 撩は香の傍まで行き、優しく後ろから抱き締める。 「撩、私・・・」 振り向いた顔には一筋の綺麗な涙の痕がしるされていた。 「馬鹿だな〜、俺がお前を置いて死ぬわけないだろうが。お前は俺の命にかけて守り抜く!」 だから泣くな、と付け加える。 「私は・・・。撩がそんなにしてくれるのに何もできない。何もできずにただ守られているなんて嫌よ!」 「香・・・」 撩はふっ、と微笑むと、 「もうお前にはたくさん温かい気持ちを貰ってる。今こうして普通の生活の平穏をしていられるのも、こんな穏やかな気持ちにさせてくれるのも全部お前のおかげなんだ。それだけで俺は充分にお前に守られてるよ」 ゆっくりと、そして優しい声で香の耳元で囁く。 香はその言葉を聞くと振り返り撩に抱き着いた。 「撩!・・・嬉しい。そんな風に言ってくれるなんて」 涙を流しながら香の顔には笑みが戻っていた。 「たまにはな。滅多にこんなこと言わないぞ」 少し顔を赤らめる。 その表情を見て本心を語っているのがわかった。 「うん。わかってる」 香はそんな撩に向かってにこっ、と微笑んだ。 「さっ、新しいコーヒーでも飲もうかな。ぬるくなっちゃってるしね」 「じゃあ俺のも頼むわ」 「勿論よ」 そう言うと香は撩から離れた。 ルンルン気分で香はコーヒーを入れ直している。 余程撩に言われた言葉が嬉しかったのだろう。 撩はそんな香を見て幸せな気分になった。 絶対にお前を守ってやるさ。この命に変えてもな。 そう心の中で誓うと撩はソファーの上に寝そべった。 |
*****戯 言*****
かなり短くてすみません!!
なんか甘い二人を書きたくなったので突発的に書いた話です。
撩って思っていることはあまり口にはださないから、この小説の中では
素直に気持ちを言葉にしてもいいかな?と思って書きました。
やっぱり香は撩に大切に思われてないとね!!
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