僚を初め、香、海坊主、美樹、ミック、かずえは旅行に来ていた。

 いつも裏の仕事をしていると、精神的に休めない。

少しは気分転換に海にでも行こうということで、皆で遠出をしようということになったのだ。

 言い出しっぺは香。

 それにのる美樹とかずえ。

 それぞれのパートナーは初めは嫌がっていたが、場所が海だということを聞くと即座に首を縦に振った。(勿論海坊主を除く。)

 それを見て香とかずえは少しムッ、とするが遠出ができるということが、2人を懐柔させた。

 旅先につくと、早速僚とミックはナンパをし始めた。

 それを見るとすぐに香とかずえはハンマーを二人に食らわせた。

 かずえは香の教えで、ハンマーを習っていたのだ。

 まだ、香ほど上手くはないが、ミックを恐れさせるのは十分だった。

 二人は青ざめながら二人の言葉に従っていた。

 その4人を見ながら、海坊主と美樹は二人の世界を楽しんでいた。

 すると、夜にかずえが口を開いた。

「ねえねえ、今日の夜肝試しに行きません?病院の廃墟に」

 かずえは意気揚揚とさせながら言った。

 その言葉に海坊主と香は固まる。

 ホテルのロビーにいる全員が一目散にかずえに視線を集中させた。

「・・・どうする?ファルコン」

 美樹は固まっているパートナーに聞く。

「ふん!そんなくだらないことできるか」

 いつものように鼻息を荒くして言った。

「だそうよ」

 残念ね、と言う様な感じで美樹は言う。

「えぇ〜!行きましょうよ。本当に出るっていう場所を聞いたんですよ?!」

 おねだりするかのようにかずえは言った。

「・・・もしかして海坊主さん、おばけ怖いんですか?」

 にやりと笑う。

「ば、馬鹿にすんな!誰が怖いか!いいだろう、そこまで言うのなら行ってやる!」

 むきになって海坊主は言った。

「!!!!」

 その迫力にかずえは少し驚く。

「美樹!俺はちょっと出てくるから、部屋で待ってろ」

 そう言うと海坊主は店から出て行った。

「ごめんなさいね、かずえさん。ファルコン、猫の次に幽霊の類は苦手なのよ」

「えっ?海坊主さんがですか?!意外・・・」

 かずえは目をぱちくりと開ける。

「じゃあ、私悪いことしちゃいましたね。怖いのに無理やり誘っちゃうなんて・・・」

 しょぼん、と肩を落とす。

「いいのよ。たまにはこういう普通の行事もやってみたいし。いつも戦場に身を置いていると、感覚がおかしくなるのよね。息抜きには調度

いいんじゃないかしら。ファルコンには息抜きになるかどうかわからないけど」

 美樹はくすっ、と笑う。

「そう言っていただけると、助かります」

 にこっ、とかずえは笑う。

「香さんたちはどうですか?」

 かずえは話を振った。

「わ、私はいいわ!遠慮しておく」

 ブンブン、と首を振る。

「行きましょうよ!折角の旅行なんだし。こういうイベントは楽しいですよvv」

 いつもと違うキャラのかずえに香は少し驚く。

「で、でも・・・」

 香が戸惑っていると、

「いいじゃねーかよ。たまにわさ。それにしても意外だな〜。かずえ君が怖いの好きだなんて」

 僚がかずえの肩を持つ。

「そうですか?私結構好きなんですよね。心霊スポットとか心霊写真とか」

 にこにことかずえは笑う。

「まあ、なんだ。香、怖いなら一人で部屋にいてもいいぞ。俺はかずえ君と一緒に―――」

 そう言って僚がかずえの肩を抱こうとすると、殺気が僚の背後に忍び寄った。 その殺気に慌てて、手を引く。

「りょ〜う〜」

 香が恐ろしい表情で僚を睨む。

「僚、カズエに手をだしたら、俺は香に手を出すぞ」

 ミックは香の肩を抱く。

「貴様!何香に触れてるんだ!!」

 きっ!と僚は睨む。

「・・・だったら、かずえに触れるな」

 真剣な顔になり僚を見る。

「お前こそ香に触れるなよ!俺はまだ触れてないぞ!」

 握り拳を作りながら、僚は言った。

 すると二人とも懐に手を入れた。

 それを見て香は青ざめる。

「ちょっとちょっと、何二人とも真剣になってるのよ!わかったわよ、行けばいいんでしょ?行けば!」

 香は投げやりな言葉を吐く。

「本当?香さん?!」

 かずえは嬉しそうに言う。

「え、ええ・・・」

 苦笑いをしながらも、香は頷く。

「よかった。じゃあ、夜中の1時30分にロビーで待ち合わせをしましょうねvv」

「「「1時30分?!」」」

 4人の声が重なる。

「カズエ、何でまたそんな時間に・・・」

 ミックはが言う。

「もしかして、丑三つ時っていうのを狙っているのかな?」

 はっはっはっ、と笑いながら僚は言う。

「勿論vv」

 満面の笑みでかずえは言う。

 その笑みに誰も何もいえなかった。

「じゃあ、又後でお会いしましょうね。じゃあ、ミック部屋に行きましょ」

 かずえは嬉しそうに言うとミックの手を引っ張っていった。

「・・・なんか今日のかずえさん、すごいというかなんていうか」

 香は唖然とする。

 その香の言葉に3人は苦笑した。

**********

 真夜中の1時30分にかずえに誘われた勇士達は集った。

 それぞれ神妙な面で各々の車に乗り込む。

 本当に出ると言われているホテルの前まで着き、時計を見ると丁度良い時間の2時を指していた。

「なあ、お前はなんとなく想像ついたけど、一体お前は何なんだ・・・?」

 お札だらけの香を尻目に、僚は海坊主を見て呆れながら言う。

「る、るっせー!人のことはどうでもいいだろうが!」

 顔を真っ赤にして海坊主は叫ぶ。

 動くたびに金属が触れ合う音がする。

 がちゃん、がちゃん。

「お前五月蝿いよ。それ、はずしたら?」

 僚は海坊主の体に纏わりついている、銃を指す。

 どうやら途中でホテルから出て行ったのは、銃を調達しに行ったらしい。

「いいだろうが!こうでもしないと落ち着かないんだ!」

「そんなの持ってたってお前落ち着いてねーじゃん」

「うるせーうるせー!!」

 海坊主は怒鳴る。

「僚、いい加減にしなさいよ!」

「ファルコン、少しは黙りなさい!」

 それぞれのパートナーがお互いのパートナーを睨みつける。

「・・・はい」

「ふん!」

 二人はにらみ合いながらも、大人しくなった。

「じゃあ、皆さんいいですか。では早速行きましょう!」

 ウキウキとしながらかずえは言う。

 かずえを筆頭に海坊主、美樹とホテルの中に入っていった。

「おい、何であんなにかずえ君は楽しそうにしてるんだ?」

 僚は小声でミックに話し掛ける。

「さあ?俺にもようわからん。まあ、カズエのしたいようにしてあげたいから、言うことは聞いているが」

 ミックは首をかしげる。

「それよりも、リョウ」

 真剣な眼差しになって、

「ちゃんとカオリを守ってやれよ。カオリ、こういうの苦手なんだろう?」

 首にぶら下げている十字架やお守りを手にして、ブルブルと震えている香を指す。

「まあな・・・」

「じゃあ、ちゃんと守ってやれ。俺が守りたくてもカズエがいる手前カオリに近づけんからな」

「・・・別にカズエ君がいなくてもお前にカオリを守ってもらおうなんて思ってはいないさ」

「あらら。珍しく嫉妬の声が聞けた。さっきのホテルのロビーの言葉といい、今の言葉といい、お前素直になったな」

 ミックはにやっ、と笑う。

 僚はその言葉にむっ、とし、

「別に嫉妬しているわけじゃねーさ。アイツは守らなくても幽霊の方から逃げ出すから守る必要がないと言っているんだ」

「ふ〜ん、苦しい言い訳だな。じゃあ、カズエが先に行っているからちょっとカオリの緊張をほぐしてあげようかな」

 そう言ってミックは香に近づこうとすると、後ろから強い力で襟をつかまれた。

「ぐっ!」

「お前がやるべき事じゃねーだろ」

「じょ、冗談だって・・・。俺がお前のいる前で手を出すわけねーだろ?」

「じゃあ、俺がいなかったら香に手を出すのか?」

「勿論だとも!あっ・・・」

 しまった、と開いた口を手で塞ぐ。

「手を出したらいくらお前でも殺すぞ?」

 強い眼光をミックに浴びせると、僚は震えている香の側に言った。

「ったく、カオリの前でそんな態度を見せてやればいいのに・・・。日本人ってシャイだな」

 ミックは絞められた襟を直し、ゆっくりと息を吐く。

「ミック〜?何してるの〜?」

 ホテルの廃墟の中からかずえの声が聞こえる。

「今行くよ、ハニ〜」

 ミックはそう言うと足早にホテルの中に入っていった。

 それを見た僚は、ふぅ、とため息をつくと、

「大丈夫か?」

「えっ、へ、平気よ!」

 少し顔を青くしながらも、大丈夫だと言い張る香。

 その香がとても愛しく思える。

「・・・あんま無理すんなよ」

 ぽんっ、と頭を触ってやる。

「僚・・・」

 香は嬉しさに僚の腕に抱きついた。

「ありがとう・・・。暫くこうしていていい?」

 上目遣いに香は聞く。

「・・・仕方ねーな」

 潤んだ瞳がとても色っぽく、僚は直視できなかった。

 すると、がさがさと言う葉っぱが擦れる音がして、僚は振り返った。

「誰だ!」 

「お前さん達の方が誰じゃ」

 現れたのは老人1人だった。

 珍しく撩がこの老人の存在に気付かなかった。

 得体の知れない老人に撩は警戒する。

 老人は懐中電灯を手に、二人を照らした。

「ここは立ち入り禁止だぞ。まっ、どうせ肝試しかなにかで来たんじゃろうが」

 その老人は首を左右に軽く振り、「ったく。最近の若いモンは・・・」

とブツブツ呟き始めた。

「す、すみません。直ぐに他の人たちにも知らせて帰りますので・・・」

 香は素直に謝った。

「・・・あんた」

 香を見た老人は目を見開いた。

「えっ?・・・何か?」

 あまりにも大きく目を見開いて見ていたので、香は少し驚く。

「・・・かい・・・」

 ぼそっ、と老人は言う。

「何言ってんだ?じーさん」

 僚の耳でもこの老人が何て言っているのか聞こえなかった。

「あんたの光、暖かいな〜。とり憑きたくなるわい・・・」

「「えっ?」」

 二人は綺麗にはもった。

「いやいや、何でもないよ。まあ、悪いことは言わん。早くここから立ち去るが良い」

 老人はにやりと笑う。

「は、はい。すみません」

 香はぺこりと頭を下げた。

 その時ふと、老人の足元を見る。

「ひっ!!」

 香は絶句した。

 一瞬ライトで足が見えないのかと思ったら、向こうが透けて見えたのだ。

 よくよく見ると、膝下から足が見えない。

 ぱくぱくと口を動かす。

「っ!!ょ・・・」

 ぎゅっ、と僚の服を掴む。

 香は意識を失いかけたが、僚の言葉でそれは留めることができた。

「ん?どうした?香」

 様子のおかしい香に僚が気づく。

「おいおい、大丈夫かよ。顔が真っ青だぞ?」

 心配して僚は香の顔を覗き込む。

「リョ、僚・・・。あの人の足・・・」

 香は手をブルブルと震えさせながら、老人の足元を指した。

「ああ?何?」

 僚は香が指すがままに老人の足元を見てみると、

「っ!!!!!!!」

 思わず香をギュッ、と抱きしめてしまった。

「早くここから立ち去ったほうがいいぞ。ここはワシ等の溜まり場じゃからの〜」

 そう言うと老人は水平に二人に近づいてきた。

「やっ!来ないで!」

「うわぁ!来るな!」

 香はお札を、僚は銃を抜き取り老人に向ける。

 しかし老人はそれに怯むこともなく、すぅ、っと二人に近づいて体をすり抜けていった。

「早く、お帰り・・・。でないと」

 すれ違うときに、老人は言った。

「お前たちも仲間に入ることになるぞ・・・」

 低い声でそう老人は呟いた。

 後ろを振り返ると、すでに老人の姿はなかった。

「「★■#%&★%&■」」

 二人は顔を見合わせると、

「「で、で、出たぁ〜!!!」」

 ホテルの中にいる皆に聞こえるぐらいに、大きな声を出した。

「も、もう駄目・・・」

 香は気を失うと、くたっと僚にもたれ掛かった。

「お、おい!香!しっかりしろ!!嘘だろうぉ〜?!」

 ぱちぱち、と顔を叩くが一向に起きる気配がない。

 急に強い風が吹いて、木々を揺さぶらせ木の葉が舞う。

 その風が吹く音や、擦れる音がくすくす、と笑っているかのように聞こえた。

「じょ、冗談だろ?」

 冷や汗をたらしながら僚は呟く。

 1人残された僚は、

「もう金輪際肝試しなんかやんねーぞ!!」

 そう1人で怒鳴っていた。

 その後、中に入った人たちも悲鳴を上げて、撩たちの元にかけてきた。

 中には銃声や爆発音も聞こえたが。

 そうしてこう怒鳴った。

「「「「で、出たぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 暫くの間、6人は顔が青ざめたままだった。

 

*****戯言*****

これ、ちゃんと肝試しになってます?
すこしぐらい怖いかな?
あまり怖くない設定で書いたんですけど・・・。
今度はもうちっと怖い話を書きますね。
怪談口調な感じでvv

 

 

 

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