サンジが風邪を引いた。

*****

「ちょっとサンジ君。どうしたの?」

 ナミが料理を一口食べた後に言った。

「何がですか?別にどうもしませんけど」

 サンジは?マークを顔に浮かべる。

 そんなサンジを見てナミは皆を見回した。

 私だけがおかしいのかしら?

 ナミはそう思いながら見ると、皆も強張った表情をしていた。

 どうやら私がおかしいわけじゃないのね・・・。

「ナミさん、どうかなさいました?それとも何か今日の料理、お気に召しませんでしたか?」

 一向に食が進まないナミにサンジは気がつく。

「いえ、そんなことはなんだけど・・・。―――サンジ君、具合でも悪いの?」

 ナミの言葉にみんなの視線がサンジに注がれた。

「いいえ、別にこれといって悪くないですけど。強いて言うならちょっと頭痛や悪寒、後は間接が痛い

ぐらいで何もないですけど」

 あっけらかんとした顔で言った。

「それを具合悪いというの!―――サンジ君、風邪引いた事ないの?」

「いいえ、一度もないですよ」

「そう・・・。よく覚えておいてね。それは人間にとって、とても正常な状態とは言えないのよ。具合が

悪いというの。病名は症状でさまざまだけど。」

 ナミはため息混じりに言った。

「へぇー。そういうのを具合が悪いって言うんだ。知らなかった。ゾロ知ってたか?」

 ルフィは感心しながら言った。

「噂には聞いたことがあるけど正確に聞いたのは今が初めてだ。そんなのあるのは血を流しすぎて

寒くなったことぐらいかな?」

「・・・ゾロ、それアンタ死ぬ間際だったんじゃないの?」

 ナミが言った。

「なわけーだろ。俺現にこうして生きてるじゃねーか」

「だから、死ぬ間際だって言ってるでしょ?!生きてることぐらいわかるわよ!ちゃんと人の話を聞い

てよね」

 半切れ状態で叫んだ。

「もう、あんたらと話してると頭が痛くなってくるわ」

 頭を抱える真似をした。

それを見てルフィが、

「ナミ、具合悪いのか?」

 頭が痛い=具合悪い、とルフィの頭の中でインプットされているので、ナミのことを心配した。

 ナミは本当に頭が痛いわけではないのだが、それを訂正することはしなかった。これ以上何を言っ

ても無駄だと思ったので、ただ首を振るだけにした。

「・・・とりあえず、サンジ君はチョッパーに診てもらいなさい。そして今日一日安静にしててね」

「そんな病人みたいな事しなくても平気ですよ」

「サンジ君、あなたは列記とした病人なの!だから大人しくしててちょうだい」

「俺が病人・・・?」

 サンジはナミの言葉を繰り返すと、

「なーに、全然大丈夫ですよ。ナミさんの心配性だなー。そんなに心配してくれるなんて俺感激しちゃ

いますよ!」

 目をハートにしてサンジは喜んだ。

 そしてまだ途中の食事の支度を続けようと皆に背中を向けたときに、ふら〜っと倒れた。

「サンジ!!」

 ルフィは倒れたサンジにかけより、上半身を抱えた。

「どうしよう?!ナミ。サンジが倒れた!」

「落ち着いて、ルフィ。きっとサンジ君は自分が具合が悪いと認識したから倒れたのよ。それにこの船

には船医がいるでしょう?ねぇ、チョッパー」

 ナミはチョッパーを見た。

「うん、俺がいるから大丈夫。安心しろ」

 チョッパーは胸を叩いた。

「とりあえずルフィ、寝室に運んでくれ」

 チョッパーは焦っているルフィに指示をした。

*****

「なあ、チョッパー。サンジ大丈夫か?」

 ルフィは心配そうに聞いた。

「大丈夫だよ。ただの風邪だし。解熱剤飲ませたからすぐに熱は下がるよ。でも今日一日は絶対安静

だ」

 チョッパーは診療かばんを閉じて部屋を出て行こうとした。

「チョッパー、俺に出来る事って何?何か俺手伝える事ある?」

「う〜ん、そうだな。いっぱ汗かいてるから体を拭いてあげて新しい服に着替えさせてよ。そのままじゃ

風邪が長引くから」

「それだけでいいのか?」

「うん。ほかのことは俺とナミとやるから」

 本当は気がついたらおかゆでも作って食べさせてあげて、と言いそうになったがルフィがやるとめち

ゃくちゃになりそうなのでそれは言わないでおいた。

「わかった。俺、汗拭く!」

 コクン、とルフィは頷いた。

「後でお湯を持ってくるからよろしくね」

 そう言うとチョッパーは部屋を出て行った。

 少ししてからチョッパーはお湯と手ぬぐいを持ってきた。

 ルフィは手ぬぐいを濡らしてサンジの顔を拭いてあげた。

 静かな空間にサンジの荒い息遣いがこだまする。

「サンジ、早く元気になってね」

 ルフィはぼそっ、と呟いた。

「・・・うっ・・・。はぁ・・・」

 サンジは意識が朦朧とするなか、目を開けた。すると心配しているルフィの顔が飛び込んできた。

「ル・・フィ・・?何して・・る」

 熱でうまく言葉がでない。

「サンジ、よかった。気がついたんだ。俺、風邪が長引かないようにって今汗拭いてるんだ」

 ほっと、ルフィは安堵感のため息をついた。

「汗・・・?いいよ、ルフィ。拭かなく・・・ても」

 いくら病人だからって上半身裸のまま、しかもベットの上でなんてこんな美味しいシチュエーション

で、自分の男の理性がいつまで持つかどうかわからない。惚れている相手なら尚更だ。

 サンジはなるべくここからルフィを離れさせようとした。

「なんで?俺このままサンジが倒れたままなんて嫌だよ。だから拭く!」

 どうやら拭かないと風邪が治らないと思い込んでいるらしい。

「頼む・・から」

 風邪のせいで理性がぶっとびやすくなっている。

「駄目!拭くの!」

 ルフィは手ぬぐいを持ってサンジに詰め寄った。

 既に冷たくなっている手ぬぐいがサンジの肌を刺激する。今はこの冷たさでもかなりの寒気を感じ

させる。

「ルフィ。気持ちはありがたいけど、俺はもう大丈夫だから」

 息を整えてはっきり言った。

「でもまだ辛そうだよ」

 心配してくれる顔がなんとも今のサンジにはそそられる。

 もうそろそろ限界だよ。なんで体調が悪い時にこんな美味しいところを・・・。

 サンジは心の中で泣きたくなってきた。

「じゃあ、ルフィ。俺が今何をしてもお前は俺の側にいるか?」

 サンジはやけくそに聞いてみた。もう自分が何を言っているのかもわからなくなっている。

「・・・サンジになら何をされてもいいよ」

 ルフィは頬を赤らめながら言った。

 マジかよ・・・。

 サンジは心の中でうなだれた。

「とりあえずサンジは寝てて!」

「・・・わかった。じゃあ、添い寝してくれ。そしたら大人しく拭かれてやるよ」

 サンジはにやっ、と笑った。

「そんぐらいならOKだ!」

 そう言うとルフィはそそくさと拭き始めた。

 ちくしょう・・・。拭き終わったらルフィを襲ってやる。熱くらいが何だ!絶対襲うぞ!

 サンジはそう心の中で決めた。

 ルフィは一生懸命に拭いてくれている。その姿を見てサンジは無意識に笑った。

 これが拭き終わったら・・・・。

 そういう欲望を抱いてサンジはいつの間にか眠りについてしまった。

*****

「しまったぁ〜!!!寝ちまった!」

 サンジはベットから上半身を起こした。

「やっべー、せっかくの美味しいシチュエーションを!!!」

 がくっ、と顔をうなだれた。

 もうあんな美味しいの2度とないんだろうな。しかも一緒に添い寝までしてくれるなんて・・・。とほほ

ほっ。

「う〜ん。うるさいよ、サンジ」

 ムニャムニャ、とルフィが言った。

「へっ?」

 サンジは隣を見るとルフィが一緒のベットに寝ていた。

どうやら汗を拭いてくれた上に、約束どおり添い寝までしてくれたらしい。

「何て可愛いヤツなんだ・・・」

 サンジは叫びたい気持ちでいっぱいだった。

 しかし今ここで叫んでしまうとルフィを起こしてしまうので止めた。

「ホント、美味しいシチュエーションだよな〜」

 ルフィの顔を見ながら言った。

 今まで具合が悪かったのが嘘みたいに取れていた。さっきまでは動く度に痛かった関節も痛くない

し、体が軽くなった気分だ。

「ありがとよ、看護婦さん」

 サンジはそう言うとルフィにキスをした。

「あっ、コイツ男だから看護夫か」

 くすっと、笑った。

「せっかくの添い寝が勿体無いから、もう少しこのまま寝てるかな」

 もう一度ルフィにキスをして、サンジはルフィを抱きかかえるようにして眠りについた。

 

 

初めてといってもいいです!サンル!!

1回だけ書いたことあるけどあれはサンルとは呼べない。

初めて書いたけどサンルもいいかも?!と思い始めた。

りこのさんに捧げます!!

 

 

 

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