「やべー!!遅刻だ!」

 シャンクスは背負っていた鞄を手にとり走りだした。

 目の前ではいつも乗っているバスが出発しようとしていた。

「ああー!ちょっと待って!」

 叫んだにも拘わらずバスは無情にも出発してしまった。

 後1歩の差というところで間に合わなかったシャンクスは、停留所ではあはあと息を切らしながら

佇んでいた。

 やべーな、どうしようか。

 シャンクスは次ぎのバスが来る時間を確かめた。

「えっと、次ぎのバスは・・・」

 腕時計と時間を照らし合わせて、

「5分後か・・・。こりゃ完璧遅刻だな」

 はあ、と諦めの溜め息をついた。

 いつもさっき行ってしまったバスに乗れて、そこから走って行っているのだが、それでもギリギリの

時間で着くのだ。

 これで1本バスを乗り過ごしたら完全な遅刻となる。

 もう少し早く起きれば何の問題もないのだが、極度の低血圧のせいで朝はなかなか起きられない

のだ。

 シャンクスは毎朝時間と格闘しながら仕事に行っているのだ。

「あーあ、やっちまったよ。これで又ベンに怒られちまう」

 1本電話入れておくか・・・。

 シャンクスはポケットから携帯を取り出すと、仕事先に連絡を入れた。

 数回ベルがなると、

「はい、赤髪保育園です」

 ぶっきらぼうな言い方をするで男の人がでた。

 シャンクスはこの声ですぐにわかった。

 同僚のベンである。

 なぜか機嫌が悪そうだ。

 ・・・うわぁ、出てほしくない人がでちゃったよ。

「おはよう、ベン。俺だけど・・・」

「・・・どちら様でしょう?『俺』という名前の知り合いはいませんが」

 電話越しに冷たく言い放つ。

「・・・冷たいのね、ベンちゃん」

「冷たくもなるわ!アンタ園長だろ!よく遅刻ばっかりしてくるな」

「ごめん。でもベンが副園長やってくれているおかげで俺はゆくりと朝寝坊ができるんだから・・・って

アレ?」

 ベンを褒めるつもりがつい本音をしゃべってしまった。

「ほほぉ?じゃあ何か。アンタは俺がいなければちゃんと来るのか?」

「いや、嘘!ベンちゃん嘘!ベンに辞められたら困るよ」

「辞めてほしくなかったら今すぐに来い!今日は転園してくる子がくるからちゃんと遅刻しないように

言っおいただろうが」

 電話越しで怒っている姿が目に浮かぶ。

「ごめんなさい」

 シャンクスは素直に謝った。

「ったく、わかったら早く来てくださいね、園長」

 そう言うとベンは電話を切った。

 携帯電話からツーツーという電子音が聞こえた。

 ふぅ、と軽く溜め息をつくと、小さな視線を感じた。

 足元を見ると小さい子供がシャンクスを見上げていた。

 ・・・何だこのガキは。

 じーっと見ている子供と少しの間見つめあった。

「僕何かお兄さんに用かな?」

 ぺたん、としゃがむとシャンクスは子供の視線に合わせた。

 すると、子供はにこっと笑うと口を開いた。

「おじちゃん、この辺り赤髪保育園って知らない?」

「赤髪保育園?」

 思いもかけない言葉にシャンクスは驚いた。

 このガキ俺の保育園に何か用なのか?

 着ている服を見ると、自分の保育園の制服であることに気付く。

「知らないの?知ってるの?」

 子供はきつい口調で言う。

 ・・・何だ、うちの子供じゃねーか。でもこんな顔見たことねーぞ。―――それにしても今のガキは

大人を敬うって事知らねーのかよ。

 ジロジロと子供の顔を見る。

 顔は可愛いのにな。

「うん、もう!知らないなら知らないって言ってよ」

 子供はいつまで経っても返事をくれないシャンクスに苛立ちを覚えたらしい。

「ああ、ごめんごめん。ちょっと考え事をしてて・・・」

 ははっ、と苦笑いをした。

「お前、赤髪保育園の生徒なの?」

「・・・そうだけど。それより保育園の場所知らないの?俺、急がないと遅刻しちゃうんだ」

 ・・・成る程、この子が今日転園してくる子か。その前にもう遅刻だけどな。この子を連れて行った

らベンの怒り解けるかな?

 シャンクスは納得すると、

「場所は知ってるよ。これから案内してあげる」

「・・・いいです」

 プルプルと首を振った。

「・・・何が?」

 シャンクスは?マークを顔に浮かべながら言った。

「案内してもらわなくても」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 もしかして誘拐だと思われてる?

 嫌な考えが頭に浮かぶ。

「ちょっと待ってくれよ、俺は変な人じゃないぜ!」

 慌ててポケットの中から身分証明書を出した。

「ほら、俺の名前は赤髪シャンクスお前が探している赤髪保育園の園長だ」

 ぴしっ、と子供の前に突き出した。

 見ても漢字ばっかりなのでわからないと思うが、とりあえず見せてみた。

「おじちゃん、本当に園長さん?」

「勿論!だから怪しい目で見ないでくれよ」

 なっ、とシャンクスは念をおした。

「・・・わかった。信じるよ。おじちゃん」

 子供はにこっ、と笑った。

 ズキュン!!!!

 その笑顔がシャンクスの心に響く。

 ・・・かわいい。

 一瞬ぽっ、と赤くなる。

 しかしすぐに素に戻った。

 やばいな・・・。犯罪には走りたくないぞ。

 心を見透かされないようにシャンクスは立ち上がった。

「おっ、調度良いところにバスが来たぞ。おい、っとそうだ。お前、名前は?」

 シャンクスはまだ名前を聞いてないことに気付いた。

「俺の名前はルフィって言うんだ。よろしくおじちゃん」

 にっ、と笑った。そしてぺこりとお辞儀をした。

 ・・・コイツ案外ませてるのかもな。ガキのくせに礼儀がなってる。

「よろしく、ルフィ」

 そうシャンクスが言ったところでバスが目の前に停まった。

「ほら、乗るぞ。手を貸せ」

 ルフィは言われるがままにシャンクスに手を貸した。

 するとシャンクスはルフィを抱え上げてバスに乗りこんだ。

「うわぁ!おじちゃん、降ろしてよ、恥ずかしい!」

 ルフィは真っ赤になる。

「降ろしてやってもいいが、一つだけ約束しろ」

「何?」

 ルフィは回りの人の視線を気にして、キョロキョロと見回した。

「もう俺をおじちゃんと呼ぶんじゃねー。まだ、27歳のぴっちぴちのお兄さんだ。それが嫌なら、園

長先生若しくはシャンクスでいい。わかったか?」

 ルフィは早く降ろしてもらいたかったので、コクコクと素直に頷いた。

「よしっ!」

 そう言うとシャンクスはルフィをゆっくり降ろした。

「ちゃんと足元に捕まってろよ」

「うん!」

 ルフィは必死にシャンクスのズボンに捕まった。

 シャンクスはルフィの姿を見て、くすっ、と笑った。

 ・・・これからが楽しみになってきたぜ。どうやってコイツをいじめようかな?

 そう思うとシャンクスはにやけ笑いがしばらくの間止まらなかった。

 傍から見ればかなり怪しい人に見えたのは言うまでもない。

 

 

たつきさん、お待たせ致しました!!!

『学園モノ』です!!!

・・・・一応。すみません、学園モノ考えたんですけど、何故か保育園になってしまいました!

甘々か、と思って書いてたらルフィこうなってしまいました。

きっと、思ったリクではないかもしれないですけど、受け取ってくださいましm(_ _)m

 

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