それこそまさに偶然だった。

 ただ、3人はふらりと立ち寄った街で休憩しようと思っただけだったのだ。しかし恐ろしくも、会う事

がない筈の3人が出会ってしまった。

――――――――――

「嘘・・・。嘘、うそ、ウソ、USO!!!!!」

 シャンクスは目の前に現れた思いも寄らない人物に激しく動揺した。

「うっそ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!」

 シャンクスは両手を頬を当てて、さしずめ「ムンクの叫び」の顔をした。

 ひょえーーーーーーー!!!!!!

 心なしか体もくねくねとしている気がする。

「なっ、なっ、なんっ!!!!」

 シャンクスは驚きのあまり、言葉がでなかった。

「あれっ?もしかしてシャンクスか〜?!」

 黒髪の少年は大きな目を輝かせながらシャンクスの近くに駆け寄ってきた。

「ル、ル、ルっ!!!!」

 衝撃のあまり名前がでない。

「・・・お頭、声どもり過ぎだぞ」

 後ろにいた副船長のベンがタバコをふかしながらシャンクスの肩を叩いた。

 シャンクスは体をびくっ、とさせて正気に戻った。

「ルフィ!!!」

 ようやくシャンクスはまともな言葉を発音した。

 ルフィはぱぁ、と表情を明るくさせてシャンクスに飛びついた。

「シャンクス、シャンクス、シャンクス!!!」

 ルフィはあまりの嬉しさにシャンクスの名前を連呼した。

 シャンクスは何度も自分の名前を呼ぶルフィの声に呆然とする。

「・・・ルフィ。本当にルフィか・・・?それとも俺は夢でも見ているんだろうか・・・」

「何言ってんだよ!シャンクス。これが夢なはずないだろう?」

 そう言うとルフィはシャンクスの両頬を思い切りつねった。

「いてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 ゴム人間でもないのにシャンクスの頬をびよ〜んと伸びた。

「このバカルフィ!!!思い切りつねりすぎた!!!」

 赤く腫れ上がっている頬を又両手で塞いだ。

「頬がちぎれるかと思ったぜ・・・」

 ヒリヒリとする頬をさすりながらシャンクスはルフィを睨み付けた。

 ルフィはしししっ、と笑いながら、

「ごめん。あまりの嬉しさに力加減するの忘れた!」

 笑顔で謝った。

「ったく、大人になったんだから少しは力の加減ってヤツでも覚えろよ」

 シャンクスはそう言いながらも顔はにやけていた。

 なにせずっとこの10年間、気になっていた子供だ。その子供が大きくなって自分の前に現れた。

どんな形で再会しようと久しぶりに会えたルフィに

シャンクスはにやにやしてしまう。

「それにしてもルフィ、お前大きくなったな」

 しみじみとシャンクスは言った。

「シャンクスは老けたな」

 はっはっはっ、と笑った。

・・・ほっとけよ。

 笑顔が引きつりながらもシャンクスはなんとか笑顔を絶やさないようにした。

「まあ、10年も前だからな。少しぐらい年をとってもおかしくはないだろな」

 はっはっはっ、とシャンクスも笑った。とくに少しぐらいを強調させながら。

「だよなー。もう10年か。早いもんだな」

 俺には10年なんて遅かったよ。お前に会えない10年だなて・・・。

「そうだな。早いもんだ。でも元気そうで安心したよ」

 シャンクスは一応ルフィの話にあわせて、違う話を振った。

「うん!!俺、とても元気だ。仲間の皆とも仲良くやってる」

「そうか。お前、海賊になったんだもんな。お前の指名手配書見たぜ、3千万ベリー。いきなりすご

いじゃないか」

「へっへっ。そうか?」

 ルフィはシャンクスに褒められてニコニコと笑った。

「ああ、すごいよ、お前。俺、すっごく嬉しかったぞ。鷹の目が手配書を持ってきてくれてな、それを

見てすぐに祝杯をあげたもんだ。いや〜、あれは嬉しかった」

「鷹の目?」

「ああ、鷹の目のミホークって知らないか?でかい黒い十字架の剣を背負ってるヤツだ。お前の事

知ってたけどな。おっかしいな〜?俺の聞き違いかな」

 シャンクスはう〜んとうなった。

 ルフィは少し考えると、

「ああ!!!アイツか!!ゾロを負かした奴!!!!」

 ぽんっ、と手を叩き、思い出した素振りを見せた。

「ゾロ?」

「うん、俺の大切な仲間だ」

・・・だったら鷹の目の名前ぐらい覚えとけよ・・・。仲間をやられたんだったら。

 シャンクスはそうつっこもうとしたが止めておいた。

「そうだ。なあ、ルフィ。今日の夜暇か?」

「・・・夜か?わかんない。ナミに聞かないと。この街に泊まるかどうかわからないし」

 ナミ?女の名前だな。まさかルフィのコレッ!?

 シャンクスは心の中で小指を立てた。

「ル、ルフィ?まさかそのナミって子はルフィのコレ・・・・か?」

 ゆっくりと小指を立てながらルフィに聞いた。

「・・・なんだ?それ。シャンクス何か約束でもするのか?」

 ルフィは小指を立てた事の意味がわからなくてキョトン、としていた。

「いや、これはその・・・。お前の女か?って意味なんだが」

「女?ナミがか?違うよ、ナミはそんなんじゃないよ。ナミはうちの航海士だ」

「そ、そっか。いや〜、お前の口から女の名前がでてきたからびっくりしたぜ」

 シャンクスはほっと、胸を撫で下ろした。

「じゃあ、シャンクス。俺、ナミに聞いてくるよ。今日この街に泊まるのかどうか」

 ルフィはそう言うとその場から離れようとした。

「ああ、頼むよ。俺らはこの先にある、酒場にいるからよ」

「わかった!なるべく早く戻ってくるよ」

 と言って走り出そうとした時に、

「ルフィ!!ルフィじゃねーか」

 突如知った声がルフィとシャンクスの耳に届いた。

 この声、どっかで聞いた事があるな・・・。どこだったっけ?確かかなり昔だったと思うんだが・・・。

でもこの声はなんか嫌な感じがする。

 シャンクスは背筋がぞっ、とするような感じがした。

「エース!!エースだ!!」

 ルフィは声の主を確認すると兄弟であるエースに飛びついた。

「よお、ルフィ。元気だったか?」

 エースは飛びついてくるルフィをしっかりと抱きしめた。

「うん!!とっても。エースは?」

「俺か?俺はお前に会えてとっても元気だぜ。嬉しいよ」

 うんちゅっ、とルフィの頬にキスをした。

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」

 シャンクスは悲痛な叫び声をあげた。

「てめぇ、エース!!!!ルフィになんてことしやがんだ!!」

「シャンクス!!アンタ、いたのか」

今更気づいたようにエースは言った。

普通気づくだろう!!この赤髪だったらよ!!!コイツ、わざとだ!!

「何って可愛い弟との再会を祝してのキスだが?それがどうかしたのか?」

 エースはあっけらかんと言った。

「ぐぅっ!!だ、だけど兄弟でキスって変じゃないか?普通しないだろう・・・」

 しどろもどろになりながらシャンクスは言った。

「そうか?普通だと思うがな〜。そう思わねーか?ルフィ」

「うん、普通だろ?このぐらい。いつもエースにはしてもらってたもん。それにシャンクスだってたま

にしてたじゃん」

 ルフィに同意されてシャンクスはトンカチで頭を殴られたような気がした。

「何?シャンクスにもキスされてたの?お前」

 初めて聞いたぜ、みたいな顔をした。

「うん。泊まりに行った時とかしてたよ」

「ふ〜ん・・・」

 エースは少し考えて、シャンクスに向かってにやっ、とした。

「ルフィ。よく聞けよ。キスというものはな兄弟同士とかならいいんだが、血の繋がっていない人と

キスはしちゃいけないんだぞ。本当に好きならばしてもいいが」

「本当に好きな人?シャンクスは好きだぞ」

 キョトン、とした表情でルフィは答えた。

 エースはちっちっちっ、と人差し指を左右に振った。

「てめー何言ってやがんだ!!!」

 そんな事いったらルフィにキスできなくなるじゃねーかよ!!このブラコン兄!!

 シャンクスは今にも噛み付きそうな顔でエースを睨んだ。

「兄弟の事だ、ほっといてもらおうか」

 うるさい外野にエースは言った。

 こっ、このビチグソ野郎!!!!!!!!!!!!!!!!

 シャンクスの怒りが頂点に達し様としていた。

「ルフィ。シャンクスへの好きと本当の好きとはきっと違うものなんだよ。本当に好きというのはどん

な時でも側にいてほしくて、温もりを感じたくて、その人の事が頭から離れられない人の事を言うん

だぞ。シャンクスはお前にとってはそうなのか?」

 シャンクスはそのエースの言葉に耳がピクンっ、となる。

 えっ・・・。エース、お前たまにはいい事言うじゃねーか。まさかルフィの気持ちを聞けるとは思わ

なかったぜ。

 耳をダンボにしながらルフィの返事を待った。

「俺は・・・」

 ルフィが言葉を紡ぎだそうとしたときに、

「ルフィ!!何やってんだよ。ナミが怒ってるぞ」

 遠くからチョッパーがトコトコと歩いてきて、ムンズ、とルフィのズボンの端を掴んだ。

「チョッパー!!!」

 ルフィは嬉しそうに目を輝かせると、チョッパーを抱き上げ、スリスリと頬擦りをした。

「う〜ん、この肌触りがたまんねーんだよな」

 ルフィはうっとりしながら頬擦りをした。

「や、やめろよ!」

 チョッパーはなんとか抵抗してルフィから離れる事に成功した。

「あ〜あ」

 ルフィは残念そうに言った。

「久しぶりだな、チョッパー。俺の事覚えてるか?アラバスタで会ったルフィの兄貴だ」

「お、おう!覚えてるぞ。確かエースっていう名前だった」

「そうそう。よく覚えてるじゃねーか。偉い、偉い」

 そう言うとエースはいい子、いい子、とチョッパーの頭を撫でた。

「あっ!!!」

 突然、ルフィが大きな声を出した。

「俺いたわ。コイツ」

「えっ?何が」

「ほら、さっきエースが言ってたじゃん。ずっと側にいてほしい人。コイツ、人じゃねーけど」

 そう言うとルフィはチョッパーを指指した。

「な、何?」

 チョッパーは話が見えなくてビクビクする。

「だってよ、コイツすっげー可愛いんだぜ。それに七段変形面白トナカイだもんな。コイツはすっご

い面白いんだ」

 しししっ、とルフィは笑った。

「・・・そう。だったらチョッパーにキスしてもいいぞ。俺が認めてやらあ」

 エースはシャンクスを見て、にや、とした。

 見るとシャンクスはショックのあまり、体が固まっている。

「キ、キス?!何のことだ、エース?!」

 チョッパーが焦りながら聞く。

「まあ、なんというか。・・・あきらめろって事だ」

「意味わかんねーよ!!」

 そうチョッパーはつっこむとその場から逃げ出した。

「あっ、ちょっとチョッパー待てよ!エース、お前もいっしょに来るか?皆、なんだから知らないけど

お前に会いたがってたぞ」

 ルフィの兄がまともな常識人とわかって、皆驚き、小さい頃のルフィの話を聞いてみたいと思って

いたのだ。

「ああ、いいぞ。ちょうど今は暇だからな。行ってやるぞ」

 エースは快く承知した。

「そっか。じゃあ、行こう!―――あっ、シャンクス!又後でな。ちゃんとナミにこの街に泊まるかど

うか聞いとくよ!さあ、行こう!エース」

 そう言うとルフィは一目散に走り出した。

「じゃあ、そう言うわけだ。すまんな」

 エースはシャンクスにそう言うと手を振り、その場から立ち去った。

 後に残されたシャンクスは木枯らしが吹く中、一人たたずんでいた。

「おい、副船長。どうすんだよ、お頭。このままの状態にしておくか?」

 ヤソップが冷や汗を流しながらベンに聞いた。

「俺に聞くなよ・・・。とりあえずしばらくはこのままにしておこう。今、気がつくと面倒だから」

 ベンはそう言うと固まったシャンクスの体を人の迷惑にならない場所に持って行った。

「よし、ここなら騒がれても平気だろう」

 ふぅ、とため息をつくと、目を覚ましたときのシャンクスの暴れっぷりが目に浮かび、背筋に悪寒が走った。

・・・どうせなら今の事忘れちまってくれればいいのに・・・。

 ベンはそう願わずにはいられなかった。

 

 

シャンルなんだけど、エースが絡んでくるという
お話のリクを頂いたのですけど、これでいいでしょうか?
ビクビクしながらアキさんに捧げます!!

15,000HIT!!

 

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