それはチョッパーの一言から始まった。

「ねぇ、ナミ。ルフィって誰か好きな人でもいるの?」

 チョッパーはちょこんとナミの隣に座った。

「ルフィに好きな人?そうねー、ルフィの場合いっぱいいるんじゃない?」

「いっぱい?」

「ええ、ルフィって皆好きなんじゃないかな」

 読んでいた本をナミは閉じてチョッパーを見た。

「そうじゃなくて・・・」

 チョッパーは首を振る。

「特別に好きな人でもいるのかなと思って」

 ナミはその言葉を聞くと、ハッハン、と笑った。

「何?チョッパーってルフィを特別に好きなわけ?」

「ち、違うよ!そうんなんじゃないよ!」

 さっきよりも首をブンブンと振った。

 チョッパーだってルフィを嫌いなわけではない。でも特別に好きという感情はなかった。仲間として

の好き。恋愛感情としての好きではない。

「ここのところルフィの様子が変だからさ」

「ルフィが?アイツはいつも変よ」

「だからそうじゃなくて。―――最近のルフィってやけにボーッとしたりやることなすことおぼつかな

いし。俺前に本で読んだんだけどそれって『恋』っていうヤツじゃないのかな?その本にも同じよう

な症状が書いてあった」

 症状というあたりが医者っぽい。

 しかし一体何の本を読んだか気になるナミであったがそれはつっこまないでおいた。

「よく見てるわねー」

「俺は医者だもん。皆のことはよく見ておかなくちゃ!グランドラインにいるんだから気をつけてお

かないと」

 チョッパーは活き活きと言った。

「そう。それは頼もしいわ。頑張ってね」

「うん、俺頑張る!」

 ガッツポーズを作る。もう既にルフィの『恋』の話は忘れていた。

++++++++++

 この話を耳をダンボのようにして聞いていた二人は・・・。

なんだと?ルフィが恋?マジかよ・・・。

 相手は誰だ?

俺の知らないやつか?

それとも俺が知ってるやつか?

俺が知ってる限りでルフィが恋がしそうや相手というと・・・。

ゾロはちらっと調理場に立っているサンジを見た。

こいつか?!こいつがルフィの恋の相手か?!

睨むようにゾロは見た。

サンジもゾロを睨みつけている。

 なんだぁ〜?コイツ、なんで俺にガンつけてやがる!!

 ゾロは自分の事を棚に上げて思った。

 もしコイツがルフィの相手だったら絶対許さねー!!!

 ゾロは席を立つとダイニングを出て行った。

++++++++++

 あいつが恋ねー。そんな風には見えなかったけどな。

 でもアイツの愛情表現って普通の人と違うからなー。医者であるチョッパーの言う事は確かなん

だろう。

 だとしたら相手は誰だ?俺か?でも俺だったらすぐにわかる。いつもルフィにはモーションをかけ

てるんだ。もしそうだったらモーションを返してくれてもいいはずだ。なのにいつもあっさり返される。

 ということは・・・。

 後ろでナミとチョッパーと一緒に座っているゾロを見た。

 このクソ剣士か?!

 なぜかこちらを睨みつけているゾロをサンジは負け時と睨み返した。

・・・コイツ、俺に喧嘩売ってるんのか?この俺様にガンつけやがって!

コイツが相手なら俺が無理やりにでも奪ってやる!コイツだけには渡さねー!

二人の視線が空中でぶつかる。

しばらくにらみ合っているとゾロが席を立った。

あ〜んのクソ剣士には絶対、負けないからな!

出て行くゾロを睨みながらサンジは思った。

ったく、この二人は一体何を考えているのかしら?

ナミは隣で激しい視線の攻防戦を見ながら思った。

まあ、二人が考えている事はわかるけどね・・・。

はぁ〜、とため息をつきながら元凶であるチョッパーを見た。

++++++++++

 ダイニングを出てゾロは壁に凭れ込んで座った。

 サンジには負けないと意気込んだゾロだが、一体どうすればいいのか悩んでいた。

 思っても何をしたらいいのか全然思いつかない。

「とりあえず寝ちまうか」

 すっと、目を閉じると、

「寝ちゃうのか?」

 近くからルフィの声がした。

 ぱっ、と目を開けると目の前にルフィの顔があった。

「ルッ・・・ル、・・・ルフィ!」

 ゾロの言葉がどもる。

 びっ、びっくりした。なんてここにルフィが・・・。

「どうしたんだ?そんなにびっくりして」

「いや、なんでもない・・・」

「そっか。それよりもう昼だぞ?寝ちゃうのか?」

「昼?ああ、そうか。そんな時間か」

 ゾロは思い出したように言った。

 そう言えば俺、飯食おうと思って厨房に行ったんだった。そんなあんな話聞かされるからつい・・・。

「早く中に入ろうぜ」

 ルフィが手を差し伸べた。

「えっ」

 ゾロは何の為に差し出されたのかわからなかった。

 何だ?この手は?握手でもしようっていうのか?

 じぃー、と差し出された手を見つめた。

「何だよ。そんなに俺の手が珍しいか?」

 ルフィはしっしし、と笑う。

「そういうわけじゃねーんだが・・・。ルフィ、この手は?」

ゾロはその手を指差した。

 顔にハテナマークを浮かべながら、

「手だけど?」

「それはわかるんだけど・・・」

 何でこの手が差し出されたかとうことをゾロは聞きたかった。

「早くし!。手がつっちゃう」

 ほら、と言った。

「ああ」

 ゾロは唖然としながらもルフィの手を握ろうとした。

 その時ぐいっと思いも寄らない力強さでゾロは引っ張られた。

「なっ?!」

 思いっきり引っ張られたせいで反対側の床と激突してしまった。

「ぎゃっ!!!―――いってーーー!何すんだぁ!!」

 打たれた顔を手で覆う。

「ふんっ、ルフィの手を握ろうとするからだよ。このクソ剣士!」

 サンジが仁王立ちでゾロの前に立った。

「てめー・・・。一体なんの恨みがあってこんな真似を」

「恨み?いっぱいありすぎてわからねーよ!とりあえず今はルフィに触ろうとした罰だ」

「罰〜?なんでルフィに触ることが罰なんだよ?」

「お前がルフィをやらしい目で見てるからだよ」

「んだと?こらぁ、もういっぺん言ってみろ?誰が誰をやらしい目で見てるだと?」

 ゾロのこめかみがピクピクと痙攣している。

「何度でも言ってやらぁ。テメーだよテメー。このクソ剣士!」

 サンジは負け時と言い返す。

「テメー、ブッ殺す!」

「上等だ!やってみろ!!」

 ゾロがサンジに殴りかかろうとしたところでルフィがサンジに抱きついた。

 ルフィ・・・。まさか俺をかばって・・・?!

 サンジはそう思うと嬉しくなった。

「なっ!何してるんだ!ルフィ。なんでそいつに抱きつく!」

 ゾロはなんとか踏みとどまって怒鳴った。

「えっ、だって・・・」

 クンクン、とルフィはサンジの匂いを嗅いだ。

「お、おい、ルフィ?」

 サンジは顔を真っ赤にして抱きついているルフィを見た。

「うん、やっぱり!」

 ルフィはにこっ、と笑った。

「あっ?何が」

 その笑顔にドキッとしながら聞いた。

「サンジの服から肉の匂いがする!今日の昼飯肉かぁ?」

 嬉しそうにルフィは聞いた。

「ああぁ?・・・まあ、そうだけど」

「やった!肉だ肉!」

 そう聞くとルフィはルンルン気分でサンジから離れた。

「まっ、そんなことだとはおもったけどな」

 ゾロは嫌味ったらしく言う。

「るっせー」

 サンジは懐からタバコを取り出し火をつけた。

「あっ!チョッパー!」

 ルフィの声の方を見るとチョッパーがダイニングから出てきたところだった。

「な、何?」

 チョッパーはいっきにみんなの視線を集めたので驚いた。

「「別に」」

 サンジとゾロの声が重なった。

「チョッパー」

 ルフィはとことこと近寄ってチョッパーを抱きかかえた。

「ルフィ!何す――」

 チョッパーはジタバタと暴れた。

「う〜ん、このふわふわ感がいいなー」

 ルフィはチョッパーに顔をスリスリとした。

「わっ!ルフィ、くすぐったいからやめてよ」

 きゃはっはっはっ!とチョッパーは笑った。

「この感覚が忘れられなくてさー」

 スリスリと頬ずりする。

 その二人を呆然と見ていたサンジとゾロ。

「どういうことだよ・・・?」

「さあ?とにかくルフィが惚れているのは俺でもお前でもないってことだな」

「じゃあ、とりあえずチョッパーと話をつけるか」

「賛成」

 そう言うとサンジはルフィからチョッパーを引き剥がした。

 チョッパーは二人の表情を見ると顔を青くした。

「チョッパー、悪いがちょっと付き合ってくれないか?」

「悪い事はしねーよ」

 そう言うと3人は別の部屋へと向かった。

 残されたルフィは少しぽかん、としていたが、

「腹減った。何かあるかな?」

 そう言ってルフィはダイニングに入っていった。

 

うぅぅぅ・・・。ゴメンナサイ。

全然ゾロ、サンジ→ルフィになってない!

でもどっちとも選べなくて結局はチョッパーを絡ませてしまいました。

これしか書けない俺を許して(T_T)。

11,111HIT!にあさんに捧げます

 

 

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